失恋-人生を変えてくれた人からの卒業
私と同じように、心から愛していた人とお別れしてとても辛い想いをしている方に、少しでもこのnoteで寄り添えれば嬉しいです。
彼とは2年半一緒に過ごし、3回分の春を共にしました。彼はヘリコプターのパイロットでした。映画「シン・ゴジラ」に出てくるヘリに乗っていたそうで、シンゴジが大好きな私は目をきらきらさせながら初デートを楽しみました。
彼と出会う前に私は100年に一度と思われる、一目惚れからくる大恋愛と大失恋を経験しており、心から憔悴していました。顔がどストライクで、まつげが長く涼し気な目元の、白い制服が眩しい現役の海上自衛隊幹部でした。そんなスマートで美しい彼と別れた私は「もう二度と恋愛できないんじゃないか」と思っていました。
確かに一目惚れするような恋愛ではありませんでしたが、ヘリパイロットの彼は映画「トップガン」に出てくるパイロット達のような、陽気で冗談ばかり言って笑わせてくれる、最高に頼もしい・楽しい人でした。私はこれまで生きてきて色々なコンプレックスや悩みがありました。宗教2世であることや、発達障害ゆえに人生が上手く進められないこと、普通の人生(マイホーム・結婚・出産)に憧れながらも自分にその生き方は合わなそうだと悩んでいること、大失恋をしてから荒れた恋愛?性生活?をして、愛情に飢えていたこと。
彼は、そんな私の呪いを1つ1つ解いてくれた人でした。
私のコンプレックスを1つ打ち明けるたび、考えもつかない突飛な冗談で笑わせてくれました。私だって人を励ますのが得意だし、実際にその才能でたくさんの人から感謝もされますが、そんな私のぽかぽかな太陽でヒーローだったのが、ヘリパイロットの彼でした。
彼に出会うまで私はずっと精神的な孤独を感じていました。いくら友人が増えても、いくら異性に告白されても、自分が心底安心できる異性に出会ったことがなかったからです。心から繋がりを感じられる異性に出会えず、異性とは性衝動(一目惚れも含まれますね)や性欲でしか繋がれない現実に打ちのめされていました。
しかし彼と出会ってからは「私は一人ではないのだ」という確信が生まれました。初めて、性別が男性の方を人として愛することができました。
彼は私が言いかけた言葉を同じタイミングで口にします。私が好きな音楽を聞いていると、まさに同じ音楽を聞いているところだと連絡が入ります。私が同じ料理にはまっていれば彼も同じ料理を作っているし、私が読む本は彼も購入していました。お互いに「ねえ、真似しないで?笑」と言い合う日々が1年ほど続きました。彼とは言葉をかわさずとも通じ合い共鳴しているのだと確信していました。
何より彼は大きな夢を持つ人でした。「明日どこに遊びに行く?」みたいな軽いノリで「月に10億稼ぎたいんだよね」と言われたときはあまりのスケールの大きさに心臓が飛び出てきそうな驚きを感じました。実際彼は、起業家が集まるパーティーに出席したり不動産投資をしてみたり、色々と行動していました。私は「10億円ねえ…」と深刻に考えながら、その規模のキャッシュを作るならアプリ開発かしらと思ってノーコードでアプリを作って彼に見せて驚かせるなどしていました。
私達は毎日子犬のようにじゃれあっていました。お互いがお互いの子供のような親のような、友愛の関係でした。なぜなら彼は「起業するという自分の夢が叶うまで、性行為をしたくない」と、これまた突飛なことを言ったからです。「これは私達の関係が結婚へと進まないことか」と私は覚悟しました。この関係が行き着く先をなんとなく悟り、不安を常に彼にぶつけていましたが、「彼と共に走り、普通じゃない人生を目指すことは結婚よりも何やら楽しそうだぞ」と感じてしまった私は、性欲抜きの関係に居心地の良さと開放感を感じ、前進し続けました。やりたいこと・人生で成し遂げたいことを彼と真剣に語り合い、次に投資する株の銘柄はなにかという話で盛り上がりました。
…そうして2年半の年月が経ち、彼は「今後連絡できません。新しい彼女ができました。」との連絡を寄越すのでした。彼が半年もの研修で遠距離になった頃でした。コロナが落ち着いたタイミングでした。
すごくショックでした。「起業に専念したいから連絡ができない」という内容ならまだしも、まさか私以外に繋がりを感じられる相手が彼にできるなんて、そんなの受け入れられません。だって人生がくすぶっていた私を救って広い世界に飛び出す力をくれたのは彼でしたから。私の真っ暗闇な人生に暖かい日差しをくれたのは彼でしたから。
でも、まあ人生なんてそんなものなのでしょう。
2年半という数字は人間が生殖のために分泌する恋愛ホルモンの寿命です。彼は素敵な女性と出会って、新しい恋に落ちたのだと思います。
私にとって結婚や人生を添い遂げるということは、恋に落ちて、その恋が落ち着いて、親友のような関係になった二人が決断していくものだと思っていました。
私はてっきり彼と今後もこのノリのまま生きていくのだと思い、まずはフリーランスで開業しようと新卒で入った会社を辞めたタイミングでの、お別れ宣言でした。彼の「億の資産を築き上げたい。自家用ヘリを持ち、タワマンに住みたい。」という六本木の住民ですか?というぶっとんだ夢を、「うわあ、現実にこんなこと言う人いるんだ。ヤバい人だ。でも面白そうだね。」と、ついていく気まんまんでした。「梯子を外すなんて酷い」と何度つぶやいても、彼はもう戻ってきません。
今更私は婚活する気持ちも起きません。来年からは海外を回りながらフリーランスになる計画で、すでに航空券も手配しているからです。海外の街角から彼にビデオ通話して「早く仕事辞めてこっちに来なよ」と笑いながらいじるつもりでした。新しく始まるこれから先の面白い10年は、私の人生を180度変えてくれた彼と歩んでいくと思っていました。
彼とともに人生を切り開いていく未来を、彼の隣で死ぬ人生を、私は歩みたかった。
私は運の良い人間で、これまで欲しいものや欲しい未来はほとんど手に入れてきましたが、未だ手に入らない未来は「心から愛しているパートナーからのプロポーズ」です。私はまだ戦わないといけないみたいです。
人を心から愛するには勇気と覚悟と忍耐力が必要です。「人を愛する」ということは人生をかけた終わりのない戦いなのです。
失恋すると「心に穴があいたようだ」と表現します。確かに今、私の心はボロボロで、痛いし辛いし苦しいです。しかし彼との出会いは私の人生に穴を開けたのでしょうか?むしろ穴を塞いでくれた日々でした。彼の隣は居心地が良くて、彼と一緒なら私は何にでもなれそうな最高の気分で過ごしていました。私はようやく心が満たされました。しかし私は、同じ気持ちを彼に与えることができなかったのだと思います。
彼と添い遂げる運命ではありませんでしたが、少なくとも私のこれからの人生は、彼によって形作られたのです。私一人ではこれほどスケールの大きい人生を描くことは困難でした。
今後、私が夢を叶えていくなかで彼との出会いと別れが有意義だったことを証明するほかありません。これは私の愛に基づく決意表明です。
おまけ
失恋から立ち直るときに使っている考え方をまとめてみました。自分が今どこの段階にいるのか客観視することで、適切な対応ができるようになります。この表があなたのお役に立てれば嬉しいです!