哲学: 自分を作り上げるものはなにか
「なりたい自分になる」こんなことをよく聞く。理想的な人間像ということか。
違うとしたらどういうことなのだろう。「なりたい自分…」よくわからない。
自分を創り上げるものとは何だろう。
あーでもない、こーでもないを繰り返しているうちに到達するものだとしたら、それは脳の可塑性によるものだ。
思考は不満から生まれるという話は前にした。
「脳はひとつの作品である、だがわたしたちはそのことを知らない。」
これは哲学者カトリーヌ.マラブーの言葉だが、これは脳の可塑性の働きを表している。
不満から生まれた思考や行動は、私たちが知らない間に作品として創り上げられているのだ。そして、そのことを私たちは知らないのだ。
脳は思考を生む場だ。思考が脳を生むのではない。
不満から生まれた思考が、脳の可塑性によってこれまでの自分を作り変えていく。そこから生まれた世界観が自分を表している。
自分と他人とが違うというのはそういうことだ。
不満から始まった思考は満足で終わるという話も以前したが、その満足が自分を表している。
自分と他人とが違うというのはそういうことだ。
生きることに不満がある人はまだ本当の自分に出会えていない。どこかで道を間違えたのだ。
満足するまで考え抜くことが出来れば、自分が「自分」というものに出会えるはずだ。