マガジンのカバー画像

金沢小風景

57
金沢ハ美シイダケニ非ズ。不思議ナ街デアル。
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

本日は天気晴朗なり3

荒れた天気は全く好転しない。ついに浅野川の緋鯉が龍になり空を飛び出した。もう、行政は誤魔化しができない。週明け市長が釈明会見を行うことが決まった。今日は土曜日だから月曜までにこの問題を解決し、無かったことにするしかない。取り敢えず、龍は市の観光PRのための風船ということにした。

金城月夜からの連絡は未だ無い。丸澤圭一郎はストレスで胃がねじ切れる寸前だった。電話連絡しても一向に繋がらない。どうする

もっとみる

本日は天気晴朗なり2

東山の茶屋街から少し離れた所に豪邸が1軒ある。豪邸には離れがあり、そこには占いで有名な女性が住んでいる。名前を金城月夜という。

丸澤圭一郎は謎の冷や汗が止まらなかった。なんなのだこの威圧感は。女性は20代半ばくらいにもかかわらず百戦錬磨のオーラがある。金城月夜は文机に座り、お茶を飲みながら品定めをするかのように丸澤圭一郎を見つめている。無論、丸澤圭一郎にお茶は無い。

「金城月夜です」

「ま、

もっとみる

本日は天気晴朗なり

天気とは。その名の通り天の気持ちである。天とは神様のことであり、気象とは本来関係ない。

丸澤圭一郎はため息をついた。ここ最近、金沢で明らかに不審なことが続いている。例えば、浅野川で巨大な緋鯉が遡上する。卯辰山で鼻の長い人間のような謎の飛行物体が煙草らしきものを吸いながら若い女性に声をかける。小立野の坂をカラフルな達磨が凄い勢いで転がっていく。これらの事象が最近増えた観光客に次々目撃。ネット上に公

もっとみる