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カリガ
2018年7月17日 01:01
生物とは生命とは実に不思議なものであるな。監禁されて4日目の朝、館林教授は部屋をプカプカと浮遊する金魚を眺めながら感慨にふけった。金魚が空を飛ぶのに必要だったのは卯辰山で採れる特別なイトミミズだった。これを一日中与え続けると金魚が少しずつ水より空を欲するようになる。そしてやがて空を飛ぶのだ。扉が開きパチパチと拍手する音が聞こえる。振り向くと学長だった。「素晴らしい。実に素晴らしいよ舘林
2018年7月8日 22:19
館林教授は紙に書かれた数値を見て考えていた。数値は芳しくない。また教授の仮説は間違っていたのだ。教授の後ろには天狗のお面を被った屈強な男2人が腕組みして見張っている。どうしてこんなことになったのか。…………金沢のネズミに断られ机をドンと叩いた途端、研究室のドアが開き学長がにこやかに入って来た。教授の心臓はキュッと縮まった。「舘林君、どうだね頑張ってるかい?」「あ、はぁ…まぁ、まぁで
2018年7月2日 12:55
「はぁ?嫌ですよ。確かに俺は玉川図書館の地下分館に以前侵入したことがありますよ。だから言っているんです。あそこはあの後警備が余計に厳しくなったんですって。昔とは違う」数年前、金沢のネズミと呼ばれる若者が玉川図書館地下分館に侵入し、ある大物議員の不祥事をリークした。そのことは全国ニュースになったので多くの人が知ることになったが、リークしたその若者を知る者はいなかった。知っていたとしてもすでに過去