読書感想文(59)井上堅二『バカとテストと召喚獣9』

はじめに

これを書いている時点ではまだ「読書感想文(58)」を投稿していません。バカテスは本当にすぐ読み終わるので、折を見て投稿していこうと思います。

感想

おもしろかったです。

これは毎回言わずにはいられない。そしてこの「おもしろい」は「funny」のおもしろいです。ほんと、今回もたくさん笑いました。

しかし今回はそれ以上に、熱い!!私がバカテスで一番好きなシーンがこの巻でした。ネタバレみたいになるけど引用して良いですか。ネタはバラさないけど、一番熱いシーンです。

さて。ここからはそっちの仕事だ。あとは任せたからな……
「よくやった明久ぁっ!」
「しくじるなよ雄二っ!」

パァンッ

すれ違い様に手を叩く。これで僕の役目はお終い。ここから先はアイツに任せておいて、僕はのんびりと戦争の終わりを待つとしよう。
結果はきっと、僕らの望む通りになるだろうから。

あー、今書きながら泣きそうになっています。涙腺は緩い方です。バカテスを読んだことがある人はわかると思いますが、この二人は一番の親友でありながら常にお互いに罵詈雑言をマシンガンの如く撃ち合うような仲です。その二人が、こう、お互いを認め合う瞬間。ここで「やっぱりFクラスって良いなぁ」と思います。ほんと、バカなのに、良いクラスです。

もう一つ読んでいて思ったこと、これはもしかすると他の巻の感想にも書いたかもしれませんが、登場人物たち(特に主人公の明久)が他人の為に頑張るのが良いなぁと思います。

そして今は、人のために頑張っているのに、そのせいで失格になろうとしている。頑張っているだけなのに。姫路さんはただ、純粋に頑張っているだけなのに。
「そういうの、イヤなんだよ……! 頑張っているのに報われないとか、努力しているのに認められないとか、そういうの!」
これでFクラスが負けたら、姫路さんは自分を責める。僕の分まで頑張ろうと、一生懸命やったはずの彼女自身を、彼女は決して許さない。

(中略)

勝負をしているのだから、ルールに反さなければ問題ない。だから、これは凄く個人的な考えだ。僕の個人的な考えで、姫路さんにそんな負け方をさせたくない。
じゃあ、僕はどうしたらいいのか。
そんなのは、誰でもわかる簡単な問いだ。僕が嫌だと思うのなら、僕がなんとかしたらいい。僕が責任を取って、相手の計画を潰してやればいい。できる、できない、の問題じゃない。僕の分まで頑張ってくれた姫路さんの為に、今度は僕が頑張る。それだけだ。

この考え方が私はとても好きです。これを読んで高校の頃の事を思い出しました。(ここからしばらく思い出話)

私は高校時代のクラスメイトで「この人には敵わない」と思ってしまった人が二人だけいます。一人には頭の良さで敵わない、もう一人には心の純粋さで敵わない、と思いました。後者のクラスメイトは勉強が苦手でした。ものすごく努力はしていて、英語の単語力なんかは私よりずっとありました。でも成績が伸びず、学校の進学に対する空気のせいもあって自分に自信が持てないようだったので、なんとかその子の助けになれないかと悩みました。この子が報われないのなら、社会の方が間違っているとまで思ったほどです。ある日、英語の先生に勉強法を尋ねているところを見かけて「その先生はできる側の人間だから合ってない気がする」と思いつつ、私自身がそんな助言をできる立場なのかと思って言うのを躊躇ったこともありました。ある日、私はその子の事を尊敬しているのだという事を本人に伝えました。いかにすごいのかという事を話すと、「そう、自分の事を大切にしないとあかんってのはわかってるねん!親にもそう言われてん!もっと自分のこと大事にしないとあかんよな……」とかえって焦らせてしまい、自分の無力さと罪を感じました。こんなにも助けたいのに、無力どころか邪魔なのです。あれからもう四年経ちますが、未だにどうすればよかったのかわかりません。幸い、その子は大学に合格して希望通り東京に進学することができ、二年前の同窓会で久しぶりに会った時は元気そうにしていたので別に良かったのかもしれません。でもまた同じような事があった時、私はどうしたらいいのかわかりません。でもそんな人を助けたいという気持ちは持っていたいなと思います。方法を探していなければ、方法は見つかりません。

長々と思い出話をしましたが、結局は無力な自分が嫌いって事なんだなーと思いました。助けたいと思った人を、助けられる人間になりたいです。

おわりに

かなり盛り上がってきました。本編はあと三巻で終わりです。Aクラス戦のオチだけは覚えているのですが、それ以外はほとんど覚えていません。一気に読みたい衝動を抑えて、少しずつ読み進めていきたいと思っています。

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