濡れた靴で今日も歩いてゆく。
コロナも私の日常3-90
90日目 7月5日(月)
いつの間にか月曜日になっていて、私はまだ22歳で、オリンピックはもう少しである。
この間、会社の帰りにパン屋に寄った。寄ったと言っても、たまたま通りかかったパン屋のパンが半額になっていて、美味しそうだったので見ていただけだ。
そうしたら、なんだかいかつい兄ちゃん(店員)が話しかけてきて、「このパンすごく美味しいんですよ」とにこやかな顔で言う。そうなんですか、と私。「中にバターと塩が溶けていて、温めるとさらに美味しいんです!」と無邪気な顔で笑ういかつめのお兄さん。さらに「半額なんですよ〜」と何やらお願いしてくるお兄さん。私はこう言うのに弱いので、100円ならまあいいか、と「一つください」と告げる。
そしたら、物凄い笑顔で
「本当ですかッッッッッっ!ありがとうございます!!!」と言われた。
しかも「ちょっと待ってくださいね」とそそくさとパンを温めて持ってきてくれた。
たかだか100円のパンを一つ買っただけなのに、こんなに喜ばれるとは思ってもいなくて、私はひとり目を丸くする。同時に口元が緩んでふふっとなった。値段がどうであれ、売れ残ったパンを買ってくれる、それだけであのお兄さんはきっととっても嬉しかったのだろう。それを全身全霊でお客に向かって表現できるのは、凄いなあと思う。たとえこのパンが不味かったとしても、また買いに来ようと思えるよ。素敵な接客って、こういうことを言うんだなあと体感した。私も彼のようにオーバーなくらい喜びを分かち合ったりしていこう。
暑い。会社の中は湿度もすごい。エアコンを入れる。汚いので掃除機もかける。掃除機をかけながら、ふとどうでもいい悟りを得る。
よくエアコンや電気などをつけたり消したりすると余計な電気代がかかる、と言われるが、なんで電気代が余計にかかるのか?というどうでも良さげな疑問が湧いてきた。それに対して、なるほど、掃除機もエアコンも人間も同じなんだなあと悟りを開く。
一度電源を切るともう一度入れるのに時間がかかる、パワーがかかる。人間も一度辞めてしまったら、それをもう一度始めるのにはなかなか腰が重くなる。切ってしまったものをもう一度入れ直すのは、大変な労力がいるんだな。
なんだ、結局機械も人間も同じだったんかい。仲間だったんだね、キミ。と謎の親近感を覚えながら掃除機をかけ終わる。これからはなるべくパワーをオフにしないよう気をつけながら使うね、ダイソンくん。でもあなた、指を離すとすぐパワーオフになっちゃうから少し困るよ、もうちょっと持続力つけてくれないと、となんだか自分に言い聞かせるみたいに心の中で話しかけておく。
職場で掃除機をかけながらこんなくだらない事を考えているのはきっと世界中で私だけだろうと思っている。それもまた一興。こんなはたらき方もあるね。
ああ。今日は、雨に打たれた。
おやすみ。