ナミブ砂漠 72時間観察記
癒しがほしい!!
1日の終わり、鉛のような身体をひきずり、家に帰る。シャワーを浴びて、夕食を用意し、食卓につく。
「今日も疲れたね」と言葉を交わし、わたしはテレビをつけた。
流れるバラエティ番組。その煌びやかさは、今はただのノイズだ。録りためたドラマの録画。それさえ見る気力がない。かといって、静寂も物足りない。
とにかく、頭をからっぽにしたい。
そんなときに出逢ったのが、YouTubeで配信されているLive stream in the Namib Desert - ナミブ砂漠ライブカメラだった。
Live stream in the Namib Desert とは
Namibia Camが運営するナミブ砂漠ライブ配信、Live stream in the Namib Desert。砂漠に置かれた人工水飲み場にやってくる動物を観察できる。時折吹く強い風、動物の鳴き声、水を飲む音がありのままに聞こえてくる。
概要欄の日本語訳
また、チャットに関していくつかのルールがあるようだ。
ナミビア共和国とナミブ砂漠について
ナミビア共和国
ナミビア共和国は、南アフリカの北に位置する国であり、人口は約250万人。1990年に南アフリカから独立を果たし、現在は大統領制の共和国である。国土の大部分は砂漠地帯で、自然豊かな野生動物や風景が有名だ。経済は主に鉱業や漁業が中心であり、ダイヤモンドやウランなどの豊富な天然資源がある。また、観光業も盛んであり、多くの観光客がサファリや砂漠ツアーなどを楽しんでいる。公用語は英語であり、多様な民族が共存している。
ナミブ砂漠
ナミブ砂漠は、アフリカ南西部に位置する世界で最も古い砂漠の一つであり、約8000万年から形成されてきた。広大な砂漠地帯であり、南北に約1300キロメートルに及び、幅も最大で約160キロメートルに達する。砂丘や平野、峡谷、岩山、塩湖など、多様な地形があり、その景観は非常に美しく、世界的に有名である。砂漠の気候は、乾燥していて気温が高く、また、海からの霧がしばしばかかることで知られている。ナミブ砂漠は、多様な野生動物や植物の生息地であり、また、天文学的観測に適したクリアな空気があることから、天文学者にとっても重要な場所である。
実は日本でも話題になっていた
2021年11月30日から配信されているこのライブカメラは、日本でも話題となっていたようだ。
一方で、チャットルールに反する日本語ユーザーの話も目に付いた。国際的な視聴者がいるため、チャットでは英語を使用してくださいとのルールだ。英語がわからない場合、翻訳ソフトを使うなりして、ルールに則った使い方をするべきである。
つい先日まで、わたしはナミブ砂漠についても、そのライブ配信についても、知らなかった。
今月初めのことだ。この配信を知り、1日の終わりに見るのが日課になった。その時、ナミブ砂漠は昼間で、大抵オリックスが水を飲んでいる。それを、ただ眺めていた。なぜか癒やされるのだ。
ナミビアと日本の時差は、7時間である。
日本の朝はナミビアの夜。日本の昼はナミビアの夜明け。日本の夜はナミビアの昼。そして日本の深夜がナミビアの夕暮れである。
このライブカメラは、夜間も赤外線カメラで配信されている。つまり、24時間楽しめる。
さらに、12時間前までの映像が遡ることが可能だ。リアルタイム視聴できなかった時間帯の景色も楽しめる。
ここで、わたしは、3日間の映像を追いかけてみようと考えた。普段、視聴していない時間帯も多くある。そのタイミングで来る動物が気になった。
さて、どんな動物が来るのだろう?
ナミブ砂漠 72時間観察記
1日目:2023-03-12
2日目:2023-03-13
3日目:2023-03-14
こうして、わたしのナミブ砂漠72時間観察日記は終了した。
この3日間で、以下の動物を観察することが出来た。ここでは、一般的なカメラの時間帯を昼間、赤外線カメラの時間帯を夜間とする。
たった3日間の追跡で、これだけ多くの動物に出会えた。ナミブ砂漠は2月から3月にかけては雨季である。季節が変われば、彼らの行動パターンが変わったり、他の動物に出会えるのかもしれない。
後日編
ナミブ砂漠ライブカメラの魅力
コンクリート砂漠で生きる
日本は気候が良く、住みやすい。春は桜が舞い、夏は蝉が鳴き、秋は金木犀が香り、冬は寒風が肌を撫でる。四季のうつろいに伴い、道端には花が咲き、わたしたちは服を着替える。
俳句の季語や、時候の挨拶から始まる手紙。その文化は日本特有で、繊細な美しさを感じる。
しかし、現代人は忙しい。起きて、家事や仕事をして、眠る。他人の顔色を窺っていると、季節の花を愛でる余裕もない。
まるで、コンクリート砂漠で生きているようだ。こんな無機質で、ヒトがあふれた世界に居続けると、疲労が蓄積しまうのも事実である。
そんなときのナミブ砂漠。遠い地のリアルタイム。それはノンフィクションだ。しかし、普段わたしたちが、目にすることのない景色の中を、目にすることのない動物たちが歩いている。
コンクリート砂漠に疲れた者にとって、ナミブ砂漠の景色は、新鮮であり、刺激的であり、癒しとなる。
「今、自分が目にしてるものが世界の全てではない」と、思わせてくれるのだろうか。
生きるとは
ナミブ砂漠の水飲み場には、決まった時間に同じ動物が来るわけではない。誰か来たと思えば、子どもを連れていたり、突然縄張り争いをしたり、これも見ていて飽きない。水飲み場で起こるストーリーは、大変興味深い。
水を求める彼らは、生きることに全力だ。
人間は、生きる意味を探しがちである。何者かになりたいと考えたり、他者に認めてもらいたかったり、なぜ生まれてきたのかを考えたりする。わたしだってそうだ。
置かれた地で生きること。今を受け入れること。ただまっすぐに生きること。これらは、当たり前のようで難しい。
しかし、当たり前のように受け入れている世界があった。その美しい姿に、胸を打たれた。
「全力で頑張りなさい」「全力を尽くしなさい」と言われると、苦しくなる。そこで「生きることに全力になろう」と思えると、どこか気が楽になる。
それは、頑張ることを放棄するのではない。頑張ることに全力を注ぐのではなく、生きる中に頑張るという項目を入れる感覚だ。
生きるとは、わたしたちが考える以上にシンプルである。きっと。
ナミブ砂漠に生きる動物たちは、様々なことを教えてくれる。
そして、その世界を伝えてくれたのは、人間だ。
世界は、わたしが思うより広くて、わたしが思うほど悪くはないのかもしれない。
Youtubeには、他にも様々な国のライブ配信が行われている。
お気に入りの景色を探してみるのも、おすすめだ。
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