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羊と鋼の森 【読書感想文】

「この仕事に、正しいかどうかという基準はありません。正しいという言葉には気をつけたほうがいい」

羊と鋼の森  板鳥さんの言葉

調律師を志す外村が、さまざまな、ピアノや演奏者、そして同僚である調律師との関わりの中で、自らが求めるものへ近づいていく物語。

それは、世界から何かを受け取り、音楽や絵画や物語などに姿を与える、全ての表現者の話なのだとも思いました。

「言葉を信じちゃだめだっていうか。いや、言葉を信じなきゃだめだっていうか」

柳さんの言葉

例えばそれは、言葉は現象の全てを言い表すことができないけれど、言葉を信じるその向こう側に、真実が見えて来るということに似ています。

「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体」

作中での引用 原民喜の言葉

このような文体について深く考える時、上記の2つの言葉の意味が深く沁みていくのです。

最後に、人生においてかけがえのない何かと出会うことのできた、その道を進む全ての方々へ。

「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べて生きていくんだよ」

和音の言葉

この言葉に出会えたことが今日の幸運、僥倖です。


素晴らしいと思ったお話は、やはり映画になっていますね。こちらもスクリーンで観たかったです🎞️

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