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泣いた赤おに 読書感想文

子どもの頃から何度も読み返し、その度胸が苦しくなるお話です。わたしは「泣いた赤おに」の物語が、大嫌いで大好きなのです。

お話の主人公は赤おになのですが、もう1人の重要登場人物、青おにの行動と思いが、何度読んでもどれだけ人生の道のりを進んできても理解し難いのです。今日はこのお話を今一度振り返り、青おにのことを考えてみたいと思います。

あらすじ

赤おには心の優しい鬼でした。村人達と仲良くなりたいと願っていました。でも村人達は恐れるばかりで、赤おにを信用することはありませんでした。
ある日、仲良しの青おにがやってきて、村人と仲良くなる方法を提案をします。
それは、青おにが村で暴れ、赤おにが村人を助けることで信用を得ようというものでした。
青おにの作戦通りにことは進み、赤おには願い通りに村人と共に過ごす日々を手に入れて、幸せな毎日を過ごしていました。
 そんなある日。村を襲ったあの日から、一向に訪ねてこなくなった青おにのことが気になり、赤おには青おにの家を訪ねることにしたのです。
そこで赤おにが見たものは、扉に貼ってあった別れの手紙でした。
 (前略)僕はしばらく君にはお目にかかりません。このまま君との付き合いを続ければ、人間は君を疑うかもしれません。(中略)僕はこれから旅に出ることにしました。長い旅になるかもしれません。けれども僕は、いつでも君を忘れますまい。
 どこまでも君の友達。    アオオニ

 赤おには黙ってそれを何度も読み、しくしくと涙を流して泣きました。

赤おにの悲しみ

村人達と仲良くなりたくて、そのために心を尽くした赤おにの思いは、至極真っ当なことで、悲しい結末を生む余地がない様に思います。
たくさんの友達を得た代償が、本当に大切な友達を失うことになるなんて思いもよらないことで、赤おにが予想することなど出来なかったでしょう。

青おにの家の扉の前で、しくしくと泣くしかなかった赤おにの後悔を思うと、胸が締めつけられるほど苦しくなります。

青おにの思い

赤おにの悲しみを思うほど、なぜ青おにが赤おにに会うことなく旅に出るということを選択したのか、知りたいと思いました。

手がかりの言葉があります。文中で青おにが、犠牲と語る言葉です。

「なにか、一つの、めぼしいことをやり遂げるには、きっと、どこかで痛い思いか、損をしなくちゃならないさ。だれかが、犠牲に、身代わりに、なるのでなくちゃ、できないさ。」
なんとなく、物悲しげな目つきを見せて、青鬼は、でも、あっさりといいました。

「泣いた赤おに」より

青おにの自己犠牲は、赤おにの幸せにつながったのでしょうか?答えは否です。
赤おににとって、青おにを失うことは、村人との毎日を失うよりも悲しいことだからです。

そう考えるなら、青おにが旅に出たのは純粋に赤おにのためにではなく、青おにの事情によるものなのだという思いに至ります。
小さな世界で生きることよりも、広い世界に出ていき、赤おにがそうした様に、自分の世界を広げることを、選択したのかもしれません。


それは犠牲なのだろうか

このお話で青おにが犠牲と語ったものは、犠牲ではなく、選択だったのでは?という思いに行き着きます。何かを選択することは、一方を捨てることにもなり得ます。
ただそれを、"何かを犠牲にした"と思うかどうかは、それからの道のりに答えはあると思うのです。

人生に出会うことと別れることは、繰り返し何度も訪れます。大抵の場合、それは後で振り返るなら、良き時に訪れています。
ステップアップのタイミングで。世界を広げるために。学びの始まり、そして終わり。

赤おににとっても、青おににとっても、それが悲しい別れだとしても、この先に広がっているのは、今までよりも広い世界なのだと、わたしは思いたいのです。

注文があるとすれば

ただひとつ。青おにの失敗は、赤おにに何も言わずに、置き手紙だけを残していなくなったことです。前述の通り、人生には出会いがあれば別れはつきものです。ただ別れを飲み込むまでには、心の準備が要るのです。誰でも一度は心を繋いだ相手と別れるときには、心を尽くして思いを伝えることが大切なのだと思います。

学校の仕事をしていると、卒業という形で毎年多くの別れがあります。卒業したあとの人生の道のりで、一度も再会することのない子も大勢います。
ですから数カ月をかけて、大切に別れの準備をするのです。そして、次の世界で頑張りなさい。振り返らずそのまま真っ直ぐ歩いて行きなさい。
そう背中を押しお別れをすることが出来るのです。


道徳の学習で

「泣いた赤おに」は、道徳の授業に繰り返し取り上げられるお話です。小学校1年生から中学校3年生まで、テーマを変えることで取り上げることの出来る稀な教材です。
今回このお話を振り返ることで、中学生にこの授業をしてみたいなぁと思いました。
小学校1年生も一生懸命考えるけど、発達段階的に限界がありますからね😅可愛いんですけども🤗


小さなお子さんがいるご家庭では、幼稚園に入った頃から、是非とも読み聞かせをしてほしいお話。そして、繰り返し読めるように、お家に一冊ぜひ置いておいてほしいお話です。

わたしが持っているのは、いもとようこさんが絵を描いたこちらの絵本です。

最後に 自己犠牲とは

「本当の幸せとは何か」という事を強い言葉で問うたのは、銀河鉄道の夜の主人公、ジョバンニでしたが、そこでも自己犠牲を語っています。

「本当の正義の為には自己犠牲がつきものだ。」と語ったのは、アンパンマンの作者、やなせたかしさんでした。その心は、アンパンマンが自分の頭を食べさせるシーンに現れています。

いつかどちらかのお話で、これらについても考えてみたいと思います。

では今日の感想文は、この辺でおしまいにします🤗
最後まで読んで頂き、ありがとうございました😊。


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