「瀬戸内造船家具」の「LONG LIFE DESIGN 2 祈りのデザイン展」での展示が始まりました!
こんにちは!広報室の岩﨑です。2020年もあっという間に、残すところ1カ月を切りました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
さて、12月4日から当社がプロデュースする「瀬戸内造船家具」を展示していただいている「LONG LIFE DESIGN 2 祈りのデザイン展 ‐47都道府県の民藝的な現代デザイン‐」がd47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)で始まりました!早速、会場に伺ってきましたので、展覧会の様子などをお伝えします。
PR会社が家具をプロデュース?
展覧会の様子をご報告させていただく前に…「瀬戸内造船家具」ってそもそも何?PR会社が家具をプロデュースしているの?と不思議に思われた方もいるかと思います。一体どういうことなのでしょうか??ご説明させていただきます!
廃棄されるはずだった木材を家具に…愛媛県を起点に「未来の地球環境」を守る
「瀬戸内造船家具」は日本を代表する造船の町・今治がある愛媛県の造船会社「浅川造船株式会社」とセレクトショップ「ConTenna」と東京のPR会社「株式会社オズマピーアール」の3社で立ち上げた「瀬戸内造船家具プロジェクト」から生まれた家具です。このプロジェクトでは、浅川造船がケミカルタンカーの建造で、職人さんたちの足場として使用しきた、使用済み木材(主に足場板)を再活用し、オリジナルの家具を製造・販売しています。
今治ではこれまでに、何千・何万トンという造船古材が廃棄、焼却処分されてきました。従来であれば、処分されるはずだった木材たちをダイニングテーブルやストレージシェルフに生まれ変わらせ、社会に流通させることで、愛媛県の地場産業を起点に「未来の地球環境」を守る循環型社会への貢献を目指しているのがこのプロジェクトです。
オズマピーアールはこうした取り組みを3社で行うことを提案し、プロジェクトのプロデューサーとして、商品の企画、販売、協業先の開発を行っています。
このプロジェクトは、日本政府・総理官邸が国際広報を目的として運営するJAPAN GOVでも紹介していただきました。ぜひこちらもご覧ください。
「どうしてか分からないけれど、心惹かれる」ものとして、愛媛県から選出
こうして生まれた「瀬戸内造船家具」は、今回、愛媛県における民藝的な現代デザインとして、日本のロングライフデザイン活動家で、D&DEPARTMENT PROJECT代表のナガオカケンメイ氏にセレクトいただき、「LONG LIFE DESIGN 2 祈りのデザイン展 ‐47都道府県の民藝的な現代デザイン‐」に参加させていただくことになりました。
会場には、日本各地にある「どうしてか分からないけれど、心惹かれる適度に量産されているもの」を、民藝思想の中で柳宗悦が特に強調する「直観」で選び、47都道府県から1つずつ集められたものや食品、ランドスケープなどが展示されています。優しい光の中、丁寧に並べられた「作品」たちからは、作り手の想いだけでなく、「作品」を選び展示した方々の愛情も伝わってきます。
そうした「作品」の一つとして、展示されている「瀬戸内造船家具」がこちらです!
「瀬戸内造船家具」は、美しいオブジェのように展示していただいておりました…!添えられた「造船現場にある“無事”を見守る思いと、踏みしめ使われ作られていく愛おしい形を伝える。」という素敵なメッセージを読んでいると、ただの広報担当で、プロジェクトに直接関わっていない私も、なんだかじーんとしてしまいました(笑)。
そんな興奮(?)冷めやらぬまま、今回のプロジェクトを担当している当社の一ノ瀬 寿人に話を聞きました。
“当たり前のようにあるモノ・コトを誰かにとって価値あるコンテンツに”
岩﨑:一ノ瀬さん、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、「瀬戸内造船家具プロジェクト」はどのように始まったのでしょうか?
一ノ瀬:浅川造船さんから環境対策活動のご相談いただき、船の建造過程で廃棄される足場板を、複数社の力を使って家具ブランドにアップサイクルする取り組みを提案しました。得意先の委託業務におけるパートナーではなく、ブランドを管理・運営する共同事業者として、オズマのドメインのパブリックリレーションズ領域でのノウハウがブランド管理・商品企画・マーケティングに活かせると考え、プロジェクトを始めました。
岩﨑:家具をつくるわけではないPR会社のオズマグループがこのプロジェクトに加わることでどんな効果が生まれましたか?
一ノ瀬:企業や地域の中に当たり前のようにあるモノ・コトを、誰かにとって価値あるコンテンツに再編集し、世に送り出すことが出来ました。
”痕跡もそのままに…背景があり、ストーリーを持つ家具“
岩﨑:これまでにどんな反響がありましたか?
一ノ瀬:今年の6月から販売を開始して、たくさんの方々に商品を購入していただいています。様々な団体や企業からも商品購入以外の、協業や代理販売などのお問合せをいただいています。浅川造船やConTennaにも既存のお取引先やお客様から多くの反響があるとのことです。
岩﨑:造船古材を用いることにより、家具としてどのような違いが生まれますか?
一ノ瀬:「瀬戸内造船家具」は、「この家具は造船の足場板だったんですよ」という語り草になることができると思います。「捨てられるはずだったものが実は家具になっているんです」と話せるんです。家具自体に背景があって、ストーリーがあります。そうしたものが、見た目にも良い雰囲気として出ていると思います。デザインとしても、木材の風合いを最大限活かすようにしています。安全に使ってもらえるように、かんながけはしていますが、できるだけ現物のまま、痕跡はそのまま残すように作ってもらっています。板として全く同じものは一枚もないので。
“社会に提供する価値がなければパブリックリレーションズという看板をさげている意味はない”
岩﨑:プロジェクトを通して見えたPRの新たな可能性、学んだことは何かありますか?
一ノ瀬:私は10年以上オズマグループにいますが、今回の取り組みで、広義のPRの役割である「公共社会とのよい関係づくり」を前提としたプランニングが、これまで出来ていなかったのでは?と、考えるきっかけになりました。どうしても特定の得意先の目的達成のために企画の視点が向きがちだったと反省しました。1歩・2歩引いて課題を捉え、パブリックリレーションズの専門家として、得意先、その先にいる社会に提供する価値は何か?を見直さなければならないと感じました。そうでなければ、パブリックリレーションズという看板をさげている意味はないと思いました。
”仲間を増やし、愛媛県を象徴するブランドへ“
岩﨑:プロジェクトの今後の予定、目指していることを教えてください。
一ノ瀬:緩やかに大きくしていくこと、作り手を増やすこと、ごみだった木材を減らすことを目指しています。現時点では、家具を製作する会社は1社のみです。愛媛県内には多くの木工職人さんや工務店さんがあるので、まずは愛媛県内の仲間を増やして、今治タオルのような地域を象徴するブランドに育てていきたいと考えています。
岩﨑:今後の展開からも目が離せません。本日はありがとうございました!
最後に
会場で展示されている「瀬戸内造船家具」を実際に見てみて、改めて民藝的な現代デザインの商品の一つとして選んでいただけことをとても嬉しく、誇らしく感じました。d47 MUSEUMさん、本当にありがとうございます!
「瀬戸内造船家具」を含む展示された作品たちは、会場で購入していただくことも可能です。(「瀬戸内造船家具」はこちらでも販売しております。)「LONG LIFE DESIGN 2 祈りのデザイン展 ‐47都道府県の民藝的な現代デザイン‐」は来年2月8日(月)まで開催されます。