果汁と心は100%
今シーズンの営業終了まで1ヶ月を切ったのだが、小屋明けからコツコツ書いたnote記事は44を数える。
誰かに見てもらおうなんて考えずに記録してきたnoteだが、閲覧数は実に20万PVを越えている。
いつも温かく見守ってくれている人がいるんだなと私の心も温かくなりました。ありがとうございます。
◼️巡る季節と絶景の数々
2023年、尾瀬ヶ原の緑は終わり、茶色に染まりだした今、湿原は秋の入口に立っている。
8月のお盆後半と9月上旬に発生した台風の影響により、繁忙期であるはずの週末は予約者も激減し閑散とした尾瀬となった。幸いにも台風の影響はほとんどなく、むしろ天気は良いくらいで訪れたお客様はとても喜んでいた。上記以外の平日も、尾瀬現地は晴れているにも関わらず、都会から見る尾瀬の天気予報は雨マークばかりで困ったものだ。
現時点で、9月に関しては去年の来客数を下回っているのだから、経営者としては気が気じゃない。業績が良い時はスタッフにボーナスを付与するが、悪い時には給与を下げるかと言えばそんな事は出来ないわけで、今はじっと辛抱強く待つしかない。働くスタッフ達も暇だからラッキーではなく、次に来るお客様の為に出来る事、来年に向けて出来る事などに思考をシフトさせ、惰性で1日1日が終わらないようコントロールが必要だ。あと1ヶ月、有終の美を飾れるようにしようじゃないか。
◼️生産者達との時間
◼️いちご農園を営む先輩
先日、前職でお世話になっていた先輩が尾瀬小屋に遊びに来てくれた。彼は私に海のイロハや船舶の知識を沢山教えてくれた大切な先輩の一人だ。
尾瀬小屋のテラスで語らう昔話。
苦楽を共にした時間はかけがえのないものだったねと、お互いの今がある感謝と自助努力を重ねてきた事を共感しあった。頑張っている先輩の姿がカッコ良かったし、知らない世界をまた一つ学ぶ事が出来たのは私にとっての『大収穫』だった。
先輩は今、千葉県でいちご農園を営んでいる。
いちごの収穫期は終わったものの、来年に向けた苗付けや水やりなど、気が抜けない大切な作業があるようだった。アルバイトに任せて良いような作業ではないくらい重要なようで、二日間も農園を空けて来たのはリスクを伴うものだったと聞き、それでも会いに来てくれる喜びは特別なものがある。
生産者が消費者に対してどのような想いで作物を育てているのか、普段から消費するだけの我々には、中々伝わらない部分。でも、直接聞く事で分かる製法や生産までの苦労や工夫というのは、『食』をより一層豊かにしてくれるきっかけにもなるし、感謝や味わいが深まるものだ。とても勉強になった。
次は、いちごの旨味が絶頂を迎える1月~2月にかけて、家族や友人、スタッフを連れていちご狩りに行く事が目標だ。千葉に行く機会がない方も、私の兄が営む東京や川崎のスイーツ店で、上泉農園さんのいちごを使用した極上スイーツが味わえるようになっている。
様々な場所で、繋がりが生んだ『美味しいもの』を楽しめるというのはご縁以外の他ならない。
楽しい先輩とのひとときはまた一つ宝物となった。
◼️シャインマスカットやぶどう農園を営む友人
友人と言って良いかは分からないが、もはやお互い友人だと思い込んでるだろうと確信出来るくらい、仲良くなった『ぶどう奴』さん。
先月、尾瀬小屋にも遊びに来てくださり、美味しいシャインマスカットを届けてくださった。食べた時の衝撃的な美味しさが忘れられず『こんなに美味しいものはもっと沢山の人に食べてもらいたい』と直感。
直ちに私の兄を紹介し、スイーツ店や飲食店でのお取り引きが出来るようジョイントしたのだ。
私自身、単純にビジネスしたいという考えではなく、いちご農家の先輩同様に、作り手の姿を実際に見て、想いを聞いて、働く環境に直に触れる事が大切だと考えている。その為に、タイトなスケジュールではあったが、東京から山梨へと足を運んだ。自分の目で見たものに狂いはないと確信がなければ、誰かに伝えたり広める事は私の流儀に反することになる。だからこそ、まずは自分が身をもって体験してからこそ、初めて相手を語る事が許されるものだと考えている。ただの私のこだわりかもしれないが。
中央道の勝沼ICをおりて、車で5分くらいの神立地。
直接買い付けも可能だし、直売所でも購入する事ができる。ネット注文も可能なので遠方の方でも、私が惚れ込んだシャインマスカットをぜひ味わってもらえたら嬉しい。
素晴らしい出会いというものは、狙って生まれるものではない。でも、良いものに出会う条件みたいなものはあると思っている。
それは『周りから見た自分が魅力的であるか』ということだ。
こう聞くと自意識過剰な痛い奴かと思われるかもしれないが、魅力的というのは『おもしろそうだな』『楽しそうだな』『刺激受けそうだな』何でも良い。
自分と関わる事で何かしらうまれそうな期待やプラス要素を相手にキャッチしてもらわなければならない。
逆を言うと相手にもそれが同じように出ているという事。互いのセンサーがそれに反応した時、言葉なくして素敵な出会いみたいなものは自然とうまれているものだ。
ぶどう奴さんはまさにそうした出会いだった。
まさに果汁だけでなく、心まで100%となった瞬間だ。
◼️小屋閉めまでの大切な意識
残り1ヶ月だろうが、5ヶ月だろうが私のやる事は一切変わらない。お客様を全力でおもてなし、来年の事業計画や挑戦内容を策定し、国立公園に貢献出来る事全てにチャレンジする。それが私の役割であり今の生き方だ。
たった4ヶ月にして、沢山のチャレンジを重ねてきた。
富士伊豆箱根国立公園事業開始、クラウドファンディングの並走、宿泊グルメのブラッシュアップ、山小屋グルメの開発、テラス新築、tetonさんとのタイアップ、高校生就労体験、川崎重工業さんとの物輸協議、新宿御苑国立公園フェス、会津鹿フェス、ヨガイベント、寄付金設置、フロンターレ交流、小中学校講演活動、ジビエツアー開催、福島や新潟で実施されたイベント協賛など。全てがこの4ヶ月で起きた事。たまたまではなく、全てが綿密な計画や準備とやり遂げる強いエネルギーがあってこそ実現できてきた。そしてほとんどが成功してきたと言えるだろう。
尾瀬小屋は、働く人達にとって誇れる仕事を提供する環境であり続けたいと考えています。誰でも、平等にやりたい事があれば好きなように挑戦出来る山小屋です。
だからこそ、最後まで手を緩めてはいけないし、想いや願いは大切に育て続けなければならない。
我々はいつだって夢を叶える為の挑戦者なのだから。
尾瀬小屋
工藤友弘
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