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司書がおすすめの絵本·児童書をただ語る『彼の名はウォルター』


『彼の名はウォルター』エミリー·ロッダ/著 あすなろ書房 2022年

【あらすじ】
グロルステンという街へ遠足に行く途中でミニバスが故障し、コリン·タラ·グレース·ルーカスとフィオーリ先生の5人は立ち往生。
丘の上の廃墟で迎えを待つことになるが、そこで導かれるように、机の中にあった1冊の本を見つける。

本の内容は、ウォルターという名の、蜂の一生を描いた物語のようだった。

みんなで本を読み始めれば、風が唸るような音や口笛のような音などが聞こえるような気がするし、
廃墟の中を探検すれば、不気味な気配がする。
しかし先生は気のせいにしようとしている風で、ルーカスにいたっては全く気づいていない様子。
やがて日が暮れたが迎えは来ず、廃墟で一夜を明かすことに。
コリンとタラは「本を読み続けなければいけない」という強迫観念に囚われ、他の人達が寝た後もこっそり2人で読み続けた。
口笛などの音はますますはっきりと聞こえるようになる。
この本とこの廃墟に隠された秘密とは…

【レビュー】
「ホラー」と「サスペンス」と「ファンタジー」という3つの要素がある物語なので
特に前半は話の展開がどう転ぶかわからず、
グイグイ読んでしまう。
ポルターガイストの要因については
「さんざん煽っといて…」
と思わなくはないけど、
それだけにウォルターの不憫さが際立つ。

グレースは黒人、ルーカスはアジア系、フィオーリ先生はイタリア系、と何気に人物が多様なのがイマドキ。
そうやって子どもたちは現実を生きている感じなのに
ファンタジー要素もかなり強い。
「そもそもホラーってファンタジー要素あるな」と今更ながら気付かされた。

いつ映像化されてもおかしくなさそう。


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