物、ものを呼ぶ
帝劇ビル建替えに伴い、休館が決まっている出光美術館。
何回かに分けて所蔵品を展示している最終章。
今回は書と画。
個人的に、絵の中の人物描写に目がいった。
初めてまとめて観た文人画では、
遠目に描かれることもあり、基本的に人物がユルい。
「フクちゃん」「サザエさん」清水崑さんのカッパなどの、戦後すぐの漫画っぽいな
と思う。
また、キャプションでも触れられていたけど
『江戸名所図屏風』や、今回の目玉のひとつ国宝の『伴大納言絵巻』では、
たくさんの民衆の表情が細かく描き分けられていて、
観ていて飽きない。
単眼鏡を忘れてしまったのが痛かった…
『伴大納言絵巻』では、
政敵をハメようとした伴大納言によって
放火された応天門が描かれる場面で、
火の煙がすごい勢いで、真っ黒モクモクだったのにも驚いた。
基本的に火事を目にすることのない現代日本の私たちと違って
頻繁に目にしていたんだろうな、と思う迫力。
書については…やっぱり鑑賞ポイントがいまいち理解できず。
梵字は、羽衣のようにヒラヒラしてて
荘厳で美しかった!
美術館化されてからの関係者の方々が、
出光佐三が収集したものに負けず劣らずの一級品を蒐集してきたことが見て取れて、
「そうか…そういうプレッシャーもあるのか…」
と自分とはあまりにかけ離れた世界に思いを馳せ、遠い目になってしまった。