『かいけつゾロリのきょうふのやかた』が教えてくれたこと
子どもは嫌われる努力をするが、大人は好かれる努力をする。
町の木々がキツネ色付き、木枯らし吹く頃、いかがお過ごしでしょうか?
読書の秋、この度
わたくしは、シリーズ第二作『かいけつゾロリのきょうふのやかた』を買いました。
一目惚れです。
『かいけつゾロリ』シリーズ、読まれたことありますか?
いたずらの天才、子きつねゾロリが、
二匹の猪、イシシとノシシを引き連れ、いたずら修行の旅をする物語です。
本作では、妖怪が出てきます。
妖怪学校の先生、満月で変身する狼男、生き血を吸うドラキュラ、見る者を石にするゴーゴン、包帯ぐるぐる巻きのミイラ男、全部で五人。
彼らの悩みは、最近、めっきり怖がられなくなってしまったこと。
むしろ、行く先々で親しまれ、もてなされてしまうありさま。
これでは、妖怪の面目丸潰れだ〜!ということで、ゾロリに相談するところから物語は始まります。
なんとか以前のように、怖がられて嫌がられる妖怪本来の威信を取り戻そうと奮闘するお話です。
妖怪とゾロリたちは一生懸命嫌われる努力をして、わざと迷惑をかけ、あちこち問題を起こし、散らかしていく。
そこには、大人になる過程で、わざわざ努力しないと、つい周囲の期待に応えてしまうことへの危機感。
本当はどうしたかったのか見失ってしまうことへの抵抗が見られます。
しかし、すっかり大人になってしまえば、
嫌われないように、むしろ少しでも好かれるように努力します。
しんどいなぁ、めんどくさいなぁと呟きながらも、その歩みを止めないのは、「自分はほっとくと嫌われかねない」「嫌われたら生きていけない」と心のどこかで思っているからではないでしょうか。
頼まれもしないうちに背負ってしまった荷物を傍に置いて背伸びする。
頭良く見せなくて良いのなら、
優しくなくて良いのなら、どんなにこの世は楽だろうね。