チョコレートショップとカフェラテ
肌寒くなり始めた頃から、我が家のキャンドルが灯る。火の揺らぎを見ているだけで落ち着くが、いい香りも広がって、冬にピッタリの暖かい空間となる。
テレビでは、クリスマスケーキのCMが流れている。
そのほとんどが毎年同じ曲を使っているので、曲が聞こえると「もうこの季節かー」なんて思ったりする。もう少しすると、街中はキラキラ輝き、鈴の音の音楽たちが流れる。私にはもうサンタクロースからプレゼントが届くわけではないのに、"クリスマス"というだけでわくわくしてしまうのはなぜだろう。心のどこかで『何か奇跡がおきるといいな』と願ってしまっている。
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私たちは"賑わぬうちに"と、まだ静かな街中で用事を済ませドライブをする。途中、夫が偶然見つけたカフェに立ち寄った。私たち以外のお客さんは居らず、貸切カフェとなった。店員さんは1人。一角ではかわいい雑貨を販売していて、穏やかな音楽が聞こえ、店内だけゆったりとした時間が流れているように感じた。
夫にオーガニックコーヒーが運ばれる。
私はしばらくカフェインを控えていたのだが、1年半ぶりにカフェラテを注文した。しかしなかなかテーブルにやってこないので心配していると「機械が故障してしまって、もう少々お待たせいたします!」と店員さんから伝えられる。
先程からしていた物音は、どうやら機械と格闘している音だったようだ。
「全然大丈夫です!むしろ別のものを注文します!」と言うが、「もう少しだけお時間頂ければきっと大丈夫ですー!」とのこと。
一抹の不安を抱えたがお任せすることにした。
夫と他愛もない話をしていると、4~5分ほどでおまちかねの品が到着した。
それはとてもおいしくて、頑張っていただいた店員さんに心から感謝した。私にとってカフェラテはいつでも飲めるものではないので尚更だ。
飲み終わったら家へ帰ろうと思っていたけれど、まだ帰りたくない気持ちになってくる。久しぶりにカフェインをとったからだろうか。そうしてカフェの近くのおいしいお菓子屋さんを調べていたところ、物語に出てきそうなチョコレートショップを見つけた。
コーヒーカップが空になり、店員さんに挨拶をしてカフェを出る。
そのかわいいチョコレートショップへは開店と同時に着いたのだが、すでに待っているお客さんが1名いた。初めて訪れるお菓子屋さんに入るときは、遊園地へ入場する子供のようにわくわくするものだ。
入ってすぐに、こちらに向かってくる犬が目に入る。
動物好きな私は、すっかりテンションが上がってしまい、しばらくの間犬と触れ合って話し掛けるなどしていたが、一瞬「ウゥ」という声を出されたことにより、ふと我に返る。ここはお菓子屋さんなのに私は何をしているのか。先程の犬の声も「早くお菓子を買わんかい」という意味だったのかもしれない。
改めて焼き菓子を見てみると、種類が豊富でどれもほしくなってしまう。ショーケースにはケーキが並んでいる。だがチョコレートショップなので、今日はまず板チョコレートなどを食べてみたい。こちらの店主さんは『カカオ鑑定士』らしい。つまりカカオの事を知り尽くしているわけだ。添加物・保存料・香料・合成着色料は使わず、旬の有機素材を使用しているとのこと。そして『Bean to bar』なのだから、期待は高まるばかりだ。
先に来ていた男性のお客さんは、レジカゴにたくさんの焼き菓子を乗せていた。私たちもそうしたいところではあったが、2人では食べきれない。「食べたいと思ったときにまた来たらいいか」と自分を納得させ、チョコレートと焼き菓子を2種類購入し、クリスマスツリーの隣の椅子でくつろいでいる看板犬にバイバイと声をかけ、お店を出た。
先に申し上げると、全てとってもとってもおいしかった!罪悪感をほとんど感じずに食べてしまうので、そこは注意しなければならない。
誰かにプレゼントしたくなる商品だった。
なんでも調べられる時代になったのは良いことでもあるが、こうしてほぼ無計画にお店を訪ねてみるのもいい。カフェもチョコレートショップも素敵な場所で、この出会いも一期一会だ。
映画「フォレストガンプ 一期一会」で有名な言葉
『人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみるまでわからない。』
この映画が好きで、何度観てきたことだろう。
穏やかに楽しく過ごせた1日、
これがすでに奇跡なのかもしれない。
今日は私のチョコレートボックスの中の、奇跡の1つを紹介した。