蒸発した女
息子が2歳の時に母親は蒸発しました。
そもそも彼女と私(タツノ)との出会いは夜の飲み屋でして。長い事夜の蝶をやっていた彼女に簡単に惚れてしまう駄目男っぷり。でもそれは逆を言えば彼女も駄目男な私のせいで苦労も多くしたんだろうと思います。籍は入れずに同棲だけ。妊娠出産期含め、3年ほど一緒に住んでいたでしょうか。残念ながら、当時の彼女との事は脳の片隅にポイしてしまっているので、そこまで鮮明に思い出す事が出来ませんが。
いつしか私と彼女の間には隙間が出来ておりまして。彼女が夜の蝶に復帰して半年ほど経過したくらいからだったでしょうか。後に知ることになりますが、彼女は客とまた良い仲になり、家を空ける事が多くなっていました。
その後の展開はタイトルの通り。とうとう家には戻らなくなっていました。
幾日経ったでしょうか(もしかしたら月単位かもしれません)。ある日、突然彼女は帰宅しました。話の内容は殆ど覚えておりませんが、私は息子だけは渡さないと彼女に強く言ったのを覚えています。
実は彼女は当時バツイチで、既に前夫の所に娘と息子を置いてきている前科があったのです。策士な彼女は、息子を妊娠してからその事を報告してきましたが。(苦笑)
だったら尚更、息子は渡せない。育てるのは無理だろう、と。
結局のところ、母親で居る事よりも女で居る事を選択してしまったようです。悲しい事に彼女はそれを2度も決断してしまいました。。
そして唐突に始まった息子(当時2歳)との父子生活。世間知らずの私が、世の中とのギャップに苦しんでいく事になりました。反面、息子と二人だけの時間という、かけがえのない時間のスタートでもありました。
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