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AIと職人
ある期間限定のAIプロジェクトに、
私の部下をマネージャーとして配属させました。
新人研修のようなものですが、それよりは少し高度です。
新人とはいえ、プログラミング自体はよく出来る人達なので、
多少の成果を求める、
というプロジェクトです。
その部下は良くできる部下で、
AIのプログラミングに関しては世界トップクラスです。AI職人です。
しかし、配属された途端、その職人気質が露呈し始めました。
「あの新人達の実力では何も達成できない」
「このままじゃあこのプロジェクトはポシャルる」
「何かを達成するためには、もっと時間が必要だ」
とネガティブなことを言いだしたので、
「逆に、新人でも出来そうなことを目標にすればいいじゃないか。」
「新人達のやる気をへし折るのが一番良くない」
「逆に、定められた期間内で達成できる目標設定でいいじゃないか」
と言い返しました。すると
「そんなんじゃあ、新人達は何も習得できない。」
「それでもこのプロジェクトを進めるなら、
私が一から十までAIプログラムを組んで、
その内容を新人達に解説しながら、
最後のプログラム実行ボタンを押させるだけ、といった、
体験しかさせられない」
(↑こんなのでは意味がない!というニュアンスで言っている)
「AI開発には膨大なトライアンドエラーの時間が費やされるので、
そこにAIの職人技が培われることになる。
この短い期間内では、新人達は絶対に何も習得できない」
と言い返してきました。それに対して
「まあ究極的にはその君の案でもいいと思うよ。匙加減は大事だけどね」
(↑こんなのでは意味がない!ということは決してない、
というニュアンスで言っている)
「だから、そのトライアンドエラーを体験させること自体が
新人達にとって大きな学びだと思うが。
その学びから、もしかしたら誰かが大化けするかもしれない。
やってみないと分からないよ」
と言い返しました。
この反論に対してもあーだこーだと、
またネガティブなことを言い返してきました。
こういった会話がグルグルと回り出し、堂々巡りに陥ってしまいました。
最終的には
「やっぱり、職人ってマネージャーには向かないなあ。。」
(↑すみません、noteでグチらせて頂きました)
と諦めモードに入ってしまい、
その職人部下をマネージャーから外しました。
ちなみに、
「最近、巷ではAIが持てはやされているが、
最終的には人間の職人技が大事なんだ!」
と叫ぶ職人にこそ、AIを深く知って欲しいのです。
そういった職人技で守られてきた聖域にこそ、
今まさにAIが活躍する場となっているのです。
「AIで人類は破滅する」といった巷でよく聞く抽象論ではありません。
要は、
何も知らない新人でも、そういった職人技が気楽に使えるようになる
のが、AIの神髄です。