
人はなぜ万引きをするのか?心理学で解き明かす『犯罪の誘惑』」
第1章:万引きの実態と社会的影響—なぜ人は「ついやってしまう」のか?
昔、友人のAがこんなことを言った。「高校生の頃、友達と遊んでいたら、ふとした拍子に“やってみよう”と思ったんだよね。なんか、みんなもやってるし、大したことじゃないって」。彼は軽い気持ちでコンビニからガムを1つ盗んだ。そして、それがクセになった。
当時、私は驚いた。「なんでそんなことするの?」と聞いたが、彼の答えはシンプルだった。「だって、バレないし」。Aは決してお金に困っていたわけではない。むしろ裕福な家庭の子だった。それなのに、なぜそんな行動をしたのか。私は理解できなかった。彼はその後、大人になり、何事もなく普通の生活を送っているが、「万引きの罪悪感はなかった?」と聞くと、「その時はゲーム感覚だった」と苦笑いした。
この話を聞いて、あなたはどう思うだろうか?Aのような「軽い気持ちでやってしまう人」は意外と多い。むしろ、万引きをする人の多くは「悪気がない」ことすらあるのだ。しかし、その「軽い気持ち」が積み重なり、やがて大きな問題へと発展する。万引きは社会にどのような影響を与えているのか?そして、なぜ人は万引きをしてしまうのか?本章では、万引きの実態と、それがもたらす深刻な影響について考えていこう。
万引きはどれほど深刻な問題なのか?
「万引き」と聞くと、「ちょっとしたいたずら」や「若者の悪ふざけ」といった印象を持つ人もいるかもしれない。しかし、現実はもっと深刻だ。
警察庁のデータによれば、日本国内で発生する万引きの被害総額は年間数百億円にも及ぶ。これは、大手スーパーやコンビニチェーンが1年間で失う売上に匹敵する金額だ。特に中小の個人商店にとって、万引きの被害は死活問題になりかねない。数千円の商品が盗まれるだけで、その日の利益が吹き飛ぶこともある。
「でも、大企業なら大丈夫なんじゃない?」と思う人もいるかもしれない。しかし、どんなに大きな企業でも、万引きが原因で店舗の閉鎖に追い込まれることがある。実際に、地方のコンビニが「万引き被害が多すぎて、採算が取れない」として閉店したケースも報告されている。つまり、万引きは決して「個人の問題」ではなく、「社会全体の問題」なのだ。
万引きをするのは若者だけではない?
「万引き=若者の犯罪」と思われがちだが、実際には違う。警察の統計によると、万引きで摘発された人の中には、高齢者も多く含まれている。近年では「シニア万引き」と呼ばれる現象も問題視されている。
例えば、ある60代の男性は、「年金だけでは生活が厳しい」との理由でスーパーから食料品を盗んでいた。また、別の70代の女性は「ただの癖になってしまった」と言う。彼らのように、経済的な理由や孤独感が原因で万引きをするケースも少なくない。
さらに、意外なことに「裕福な家庭の人」が万引きをするケースもある。ある有名な小説家が、書店で本を盗んで逮捕されたことが話題になったことがある。彼女は決してお金に困っていたわけではない。それでも、「盗むことで得られるスリル」に魅せられ、何度も万引きを繰り返してしまったのだ。
万引きが社会にもたらす影響
万引きは、単なる「個人の問題」では終わらない。私たちの社会全体に影響を与える。
価格の上昇
お店が万引き被害を受けると、その損失を補填するために商品の価格を上げざるを得ない。つまり、私たち消費者全員が万引きの「被害者」になっているのだ。治安の悪化
万引きをきっかけにして、犯罪に手を染める人もいる。最初は「小さな盗み」だったものが、次第に「より大きな犯罪」に発展するケースもあるのだ。店員の負担増加
万引き対策のために、店舗の従業員は監視の負担が増える。防犯カメラの設置や警備の強化にもコストがかかり、そのしわ寄せが消費者にも及ぶ。
まとめ:なぜ人は万引きをするのか?
ここまで、万引きの実態とその影響について見てきた。万引きは決して「軽い犯罪」ではなく、社会全体に大きな影響を与える問題だ。しかし、それでも万引きはなくならない。むしろ、増加傾向にあるというデータすらある。
では、なぜ人は万引きをしてしまうのか?そこには、「心理的な要因」が大きく関係している。「どうせバレない」「一回くらいなら」「みんなやってるから」といった心理が、人を万引きへと駆り立てるのだ。
次章では、そんな「万引きをする人の心理」に焦点を当てていく。「悪気がないのに万引きしてしまう人」「スリルを求める人」「依存症として万引きを繰り返す人」――彼らの心の中には、どんなメカニズムが働いているのか?その真相に迫る。
→ 第2章:「万引き犯の心理とは?本当に『悪気がない』のか?」へ続く
ここから先は
¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?