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Vol.9 今や、死語になってしまった「LOHAS」私たちがブームにしてしまった?!
SDGsはLOHASのようにはならない。してはならない。
SDGsは国連による世界共通のルールだから。
“SDGsもLOHAS(ロハス)のようにならないでしょうか?”
“SDGsはそうはならないでしょう。
理由は国連サミットで公式に採択された世界共通のルールですから”。2016年、オルタナの森摂編集長とそんな会話をしたものです。
健康とサステナビリティに根差したライフスタイルを提唱するLOHASに共感し、2008年にはこれを推進するNPOを立ち上げました。当時は、自社経営との二束わらじで、かつ、5年間の期間限定の活動でしたので、残念ながら解散しました。
2009年、世界のトレンド発祥地、大谷さんで話題のロサンゼルスを訪問しました。LOHASのコンセプトに共感し、このコンセプトがどのように市場に反映されているか、体感したかったのです。グランドセントラルマーケットでメキシコ・タコス片手に、市内在住のライターの女性と打合せを終え、バークレーにあるオーガニック・ローカル・シーズナルがコンセプトの店「CHEZ PANISSE」、アロマや漢方なども提供する「elephant pharmacy」、太陽光発電を活用した先端農場「REAL GOODS」、有機農産物の生産企業「Earthbound Farm」、天然由来成分100%のオーガニックソープメーカー「DR. BRONNERS MAGICSOAPS」などを訪問しました。取材で伺うと、誰も「LOHAS」という言葉は知らず、同様の意味では「グリーン」が使われているとの返事で、“一体どういうことだろうか”と、未消化のまま帰って来ました。
一方、日本では、LOHASはメディアによって一般に広まり、これをテーマとした書籍や雑誌が書店に並び、一般消費者への認知度は広まり、社会に浸透していくかのように思われました。
しかし2015年頃には残念ながら、「LOHAS」は死語となっている感がありました。
1)LOHAS/Lifestyles Of Health And Sustainabilityの略語
直訳すると「健康的で持続可能な生活様式」となります。
2006年頃にアメリカの社会学者のポール・レイ氏と心理学者のシェリー・アンダーソン氏よって提唱されたとのこと。マーケティングの専門用語。
彼らは、1980年頃から全米の成人15万人を対象に15年にわたり一般消費者の価値観調査を実施してきた結果、3つの社会集団の存在を確認しました。
1つは、宗教的価値観を重んずる保守派
2つ目は、商業化された都会の産業社会を信奉し、
科学技術の発展を重視する現代派
そして、3つ目の社会集団として
LOHASな価値観を持った人々が増えていることを発見
LOHASという言葉はマーケティングに携わる人たちの中で用いられた専門用語で、その後の分析では、2006年時点全米人口の23%がLOHAS層、2019年には全米人口のほぼ3分の1に増加していたと言われています。
しかし、LOHASという言葉はマーケティングに携わる人たちの間で用いられる専門用語で、今に至るまで
一般の人たちにはほとんど知られていない
一方、日本では、
日本のメディアに、「ロハス」という言葉が登場したのは、2002年のことでした。同年6月にアメリカで開催された第6回LOHAS会議に日本人として初めて参加した経済学者の方が、その様子を日本経済新聞、日経エコロジーに寄稿。2004年頃から注目され、「ロハス」を特集する雑誌が増え、ラジオやテレビでもこの言葉が使われるようになり、一般消費者に広がり、ブームを起こした感がありました。
つまり、アメリカでは消費者のカテゴリーを表わす言葉として表現され、日本では新しいライフスタイルとして表現されていったと言えます。
2)中小企業のSDGs推進に関する実態調査(2024年)
/アンケート調査報告から
2015年のSDGs宣言から10年目となりました。
SDGsへの取組み状況を、中小企業基盤整備機構が実施している、「中小企業のSDGs推進に関する実態調査(2024年)アンケート調査報告」に従ってみて主要ポイントをみてみましょう。
中小企業のSDGs推進に関する実態調査(2024年) アンケート調査報告書
ダウンロード資料(PDF版)
<調査概要>
・調査対象:全国の中小企業経営者、経営幹部、個人事業主等2,000社
・調査方法:Webアンケート調査
・調査期間:令和6年3月7日~11日
<調査結果>
➀ SDGsの認知度・理解度
・認知度90.5% 理解度42.4%
➁ SDGs導入に関する目的や意義
・企業の社会的責任47.5%
・企業イメージの向上32.2%
・従業員のモチベーション の向上29.7%
➂ SDGsの取り組みに向けた課題について
・特に課題はない・わからない 18.2%
・取り組むことによるメリットがわからない 16.8%
・何から取り組めばよいかわからない 16.3%
・取り組むための資金が不足している 14.9%
「SDGsを知っているが、理解度は低いかもしれない」、
とお考えの中小企業経営者、経営幹部、個人事業主の皆さま、
是非、弊社のホームページのDL資料、Part.1~3をご覧ください。 一緒に導入の道筋を解いていきましょう。
https://outside-in.jp/
単なる流行語や死語と捉えることはできない現実が目の前にあります。
3)楽しみ、より豊かな暮らしを送り、環境問題に取り組めるか?
SDGsが世に問われるもっと前の、今から17、8年前になりますが、健康と環境、持続可能な社会生活を心がける経営に取組んでいた、三重県伊賀市の伊賀の里「モクモク手づくりファーム」に取材に出向きました。6次産業化の先行事例として全国的に知られており、
経営者の方と直接お話させて頂き、
持続可能性を実践しているというファームをじかに感じたい
という思いで出かけました。
滞在型食農学習施設「OKAERiビレッジ」に泊まり、「農家の朝仕事体験」があるというので、それも参加したかったのです。
早速、翌朝6時30分から“朝のひとしごと”。ひと汗かいたあとは朝食となるのですが、農家生まれの私にとって、おなかをすかしての「ぴかっと光るごはん」のおいしかったこと!
OKAERiビレッジ(宿泊棟)で、私は驚きの体験をします。
各部屋にはテレビが置かれ、コテージ毎の消費電力量を比較できる画面が表示。各コテージの、チェックインからチェックアウトまでの消費量がロビーラウンジに表示されるのです。
テレビは夜と朝、数分のみに。照明も数分だけとこれ以上ないくらい節約して眠り、翌朝には“たぶん1位にランクされているはず”と思って表示を見たら、なんと2位という結果。自分より使わなかった人がいたんだ!と驚いたと同時に、かなり意識しないと、とんでもないことになるという実感でした。
※今も継続しておられるかどうか、問合せたら、この写真添付で「各コテージの消費電力の計測は『コテージ消費電力ランキング』という名前で、今も継続しています」と返信いただきました。感動ですね、ありがとうございました。
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10数年経っても忘れない「OKAERiビレッジ」での体感。ことあるごとに、反省も対で思い出すのです。
よく、
“楽しみながら、より豊かな暮らしを送りながら取り組もう”
という言葉を目にしますが、
そんなことはあり得ない。
「CO2濃度、増加量最大」、「気候変動畜産に影響大」、「ブラックロック、枠組離脱」、「世界の気温1.6℃上昇」、「ロサンゼルスを変容させる大災害」等など。この1か月の新聞の見出しを拾いましたが、これらは、私たちの意識がつくっている現状なのです。
SDGsは流行語、死語にしてはいけない。
私たちのチームではアウトサイドイン3シリーズ研修コンテンツとして、「アウトサイドイン」、「アースショット」、「グレートリセット」を提供しています。
対象は、ビジネスマン、そして企業経営者(企業内への導入という意味で)で、サステナビリティを自分ごと化するためのツールです。
「アウトサイドイン」は、社会課題を自社の事業創出に活かす体験。「アースショット」は気候変動対策をタイムリープして体験。そして「グレートリセット」は未来の姿を描くための価値観のリセット体験です。
SDGsは、社会貢献活動ではありませんよね!
自身の人生、仲間の人生、企業の将来を描く視点で取り組んで頂くことがツール開発の主旨なのです。ぜひご相談をいただければと思いますし、ご提案もおまちしております。
SDGsが言っている価値を深く理解し、自身のポリシーや、企業経営の理念の世界観を広げて、今と、これからを生きるきっかけにして頂ければと思います。
ぜひ、ご相談ください。
株式会社オークジャパン
サステナビリティ社会研究員/プランズマーケッター 近江美保