胸腰筋膜と脊柱起立筋
胸腰筋膜は、複数の層で構成されていることがわかっています。
現在では2層もしくは3層の考え方が主流です。
どちらにしても、最も後方の層は脊柱起立筋群を包むとされています。
その機能をまとめます。
胸腰筋膜と脊柱起立筋
脊柱起立筋を包んでいる筋膜は、
・後側方:棘突起
・前側方:横突起
に付着していると考えられています。
またこれらの前後の筋膜は、腹横筋の筋膜から連結されていると考えられ、特に前方の筋膜は強い結合があるとされます。
これらの脊柱起立筋を包む筋膜は胸腰筋膜の中でも
傍脊柱支帯鞘 (Parspinal Retinacular Sheath, PRS)
と呼ばれ、胸腰筋膜の中心を担います。
これらは、
・多裂筋
・最長筋
・腰腸肋筋
を包みます。
内側が腰椎、外側は腹横筋膜とつながるため、骨・筋膜区画と称されます。
腰仙部の脊柱起立筋は、起立筋腱膜で完全に覆われています。外側ではL3の下縁付近まで、内側では胸椎部まで伸びているため、多裂筋は完全にこの構造に覆われています。
多裂筋だけでなく腰部の脊柱起立筋もその内面に強く付着しており、これら3つの筋に共通の筋膜となっています。
L5以下では、脊柱起立筋の筋膜とその上にある表層の筋膜が緊密に融合し、1つの非常に太い筋膜構造を作り、PSISで腸骨稜に側方から付着します。その後、尾側方に広がって大殿筋に合流し、最後に仙結節靭帯を覆って終わります。また、ハムストリングスとも連結を受けます。
多層の腱膜組織を持つこの構造が「TLC」と呼ばれます
胸腰筋膜は、脊柱起立筋を覆うだけでなく、大臀筋やハムストリングスとも連結しうる組織ということがわかりました。同じ付着部を持つものがどの程度影響しているかは疑問ではありますが、お互いの緊張を調整する際には影響してきそうですね。
ではでは。