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妊娠と腰痛

妊娠や出産は女性の体に大きな変化をもたらし、それに伴う腰痛も問題となりやすいです。
どのような体の変化が腰痛になるでしょうか。
まとめてみました。


参考引用

成田崇矢編集. 脊柱理学療法マネジメント機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く. メジカルビュー社, 2019.

妊娠・出産と腰痛

妊娠・出産に伴う腰痛は、報告にもよりますが50%前後の人が経験をします。このように有病率は高く、妊娠前や妊娠中、育児動作などの負担増加によるものから腰痛が継続し慢性化することも報告されています。

妊娠中の腰痛を考える際には、ホルモンの影響を考える必要があります。特にリラキシンホルモンは骨盤帯の結合組織や靱帯を弛緩させ、分娩時には児を娩出するために、骨産道を広げます。よって、骨盤帯の不安定性をもたらします。


身体・姿勢の変化

妊娠初期から妊娠後期にかけて

・子宮の大きさは約5倍
・子宮の重量(胎児を除く) は約15倍
・子宮の容量は約500〜1000倍

まで変化するといわれています。
これだけの変化があれば、姿勢なども変わりますよね。

代表的なものは、腹部の重最増加、腹部増大により骨盤前傾、腰椎前弯、胸椎後弯の増加が生じるものです。
このような姿勢は腰背部筋は持続的な収縮を強いられ、腰痛が出現させます。
また逆に骨盤後傾となり、腰椎前弯減少、胸椎後弯増加となったり、胎児や羊水の影響から、骨盤带の神経の圧迫や伸張などを引き起こすこともあります。

また、胎児の成長に伴い腹部臓器は押し上げられ、横隔膜を圧迫・伸張することで、肋骨下角は100°以上にまで広がり、下部肋骨は前方へせり上がるように押し上げられます。結果として肋骨に付着する腹筋群や肋間筋群の伸張痛を生じることもあります。
また、これにより横隔膜・多裂筋・腹筋群・骨盤底筋群の筋収縮や協調性が低下も考えられます。

さらに、腹直筋が伸張され腹直筋離開という状態が妊娠中に多くみられます。腹直筋の収縮効率や筋力の低下から、腰背部にかかる負荷が大きくなることで腰痛へと発展する可能性もあります。

分娩と腰背部・骨盤帯への影響

分娩時には骨盤は大きく緩みます。具体的には、仙骨が前屈、尾骨は後方へ動き、両坐骨間が広がります。分娩が終了した後、徐々に仙腸関節や恥骨結合の結合組織は元の緊張を取り戻していきますが、骨盤帯の不安定性や骨盤帯の筋群の機能低下を引き起こすことで腰痛になることがあります。


妊娠中や、出産後のケアはリハ職としても考えていかなかければなりませんね。運動もそうですが、やはり骨盤や腰への負担が軽減できるものなども必要となるでしょうか。何よりも、全国のお母さんに感謝ですね。

ではでは。

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