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コンビニエンス・メランコリー
コンビニのひかりアイスのチョコミント冬に泣きたい虫なのでぼく
こんなにもさみしいけれどこんなにもひとりになりたい夜の避難所
ぱらぱらと興味もないのに立ち読んだ雑誌最下位の星座占い
はんぶんこするひといないし肉まんは選ばず頼むチキンのあぶら
いちばんになりたかったと番号を振られた煙草も泣くのだろうか
コンビニのバイトになって常連をこころの中でHOPEと呼びたい
こんなに選べるのになにも選びたくなくって、選べないのとは違うのって、食玩を握りしめた子どもに言われたかったコンビニエンスストア、ひかりが、ずっとまぶしい、宇宙に、ほっぽりだされたみたいだと思う。あつまってくる虫たちは、おそろしくないのだろうか、目の眩むようなひかりが、希望だと疑わずにいられるのだろうか。
銀河三丁目にもコンビニはあって、ひとりぐらしの異星人が青色のおでんを買っていったりする、おでんが青色だってコーヒーが逆さまになったってぼくの身体が見慣れないはだいろだったって店員に口がなくったってそこでは誰もおどろかなくって、それは、みんなひとりだってことと一緒だ、宇宙服よりずっと軽くて透明ですこぶる頑丈な膜があって、呼吸をだれかとともにすることもないから、興味だってない、みんな知らないだけで、見えないだけで、地球上だってみんなその膜に覆われているんだよ、と、得意げに話したくもない、ことを孤独と呼ぶので、みんなひとりだけどみんな孤独でなくって、結局、宇宙でぼくだけが孤独のような気がする、深夜のコンビニエンスストア、憂鬱は、ずいぶん安く買える。
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