見出し画像

ぼくたちはこうかいしている

 
アルバムをめくると潮のにおいがするもう捨てた服の夢ばかり見る

いちどだけ狼煙がわりに吸う煙草ひかる年確ボタンを押した

選択のひとつにいつも海がいてぜんぶ捨ててもいいよと笑う

君のせいだよと泣いたのに出立の朝も変わらず君は凪いでる

ぼくたちはぼくたちの舟で海をゆく船舶免許ももたないままで
 
 
 
 
もう着ないセーラー服、捨てずにしまいこんだことが、なんの感傷にも未来にもならなくていい、いつか偶然見つけて捨ててしまえばよかったし、そのうち引っ張り出して、その襟を立てて、波の音を聴いたってよかった。

無駄なことなんてないよ、

なんて言葉、励ましになんかなりゃしないから、ぼくはいつだって本当は、本当に、大丈夫だったよ、だから心配しないで、やっぱりいつでも思い出して心配していて、
ぼくたちはこうかいしている、あの日もこの先もずっと、こうかいをつづけている。





いいなと思ったら応援しよう!

大海明日香
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。