「悩む」と「考える」の違い
グルグルと考えが同じところを巡り、出口が見つからないことってありますよね。
そんな時、よく人は
「考えているんだけど、答えが見つからない」
と言ったりします。
実はこれ、考えているんじゃなくて、悩んでいる状態、なんだそうです。
”悩む”と”考える”ことの違いって何?
と思っちゃいますよね。
ところが先日、とても興味深い話を聞きました。
(100分で名著「14歳からの哲学」池田晶子著)
ぜひ参考にしていただけたらと思うので、私なりに整理したことをお伝えしますね。
”悩む”と”考える”の違い
”悩む”と”考える”の違いは、どうも答えがすでにあるかないかの違いのようです。
「え?」
「答えがないから悩んでいるのに?」
と思うのではないかと思いますが、実は”悩んでいる状態”とは、すでに答えを持っていて、そうするべきか否かをグルグル迷っている状態なんだそうです。
(なるほど…確かにそうかも知れません)
それに対して”考える”とは、答えが見つからずに”問い”だけがあり、必死に答えを探している状態なんだそうです。(ふむふむ)
だから”考える”ということは、答えを探すためにどんどん自分の考えを掘り下げて深化させ、奥深くにある”本当の自分”とつながっていく作業になるのです。
考えれば考えるほど自由になっていく?
で、ここで重要なことがあるなと思いました。
つまり、そうなると、考えを深める人はどんどん自分だけの世界に没入していくんじゃないの?
独りよがりの世界に没入して、誰も自分のことをわかってくれないと、被害者意識を高めていくことにならない?・・・と思いがちです。
ところが、考えるということはそうではなく「考えれば考えるほど、他者に開かれていくものだ」というのです。
つまり、深く”考える”ということは、自分とも深くつながるし、他人とも深くつながれることだというのです。
これは私にとって衝撃的でした。
なぜなら、深く考える人が、どんどん孤立していくのを、大勢見てきたからです。
人間の本質は孤立して生きるように出来ていない
つまり、”考える"イコール"他者に開かれる”ということは、そもそも人の本質は、孤立して生きるところにはない、ということをあらわしていると思うのです。
他者のために、自分を生かせたときに、大きな喜びや安心を手にするように、仕組まれているのです。
だから、突き詰めて、突き詰めて、考えていくと、結局人間は一人では生きられない、とても弱い生きものだという本当の姿に、ぶつかるんだと思うのです。
つまり、考えれば考えるほど、見せかけの善意には異を唱えることになるでしょうし、最初はどんな問いであっても、最終的には
『それは独りよがりの考えじゃないのか?』
『人間の喜びはどこにあるのか?』
という問いが出てきて
結局のところ「真に人とつながる」というテーマにぶつかるのかな…と思ったりしています。
小手先の安心では考えは深まらない
そこで思いました。
ひょっとしたら、これまで私が見てきた”考える”人たちは、実は考えているつもりで、考えるのを途中でやめてしまったか、ただ悩んでいるだけだったのかも知れないと気づいたのです。
人とつながらず、孤立していくということは、自分にとって”安心できる解釈”を探すことが目的だったのかも知れないなと。
目的は、とりあえずの「自分の安心」
とりあえずの安心が手に入るのなら、他者とつながろうが、つながれなかろうが、そんなことはどちらでもいいというわけです。
でも、それでは、いっとき安心できるかも知れないけれど、必ずまたすぐに不安が襲ってくる。
つまり”真の安心”を手にすることはない、というわけです。
そして、本当の安心を手に入れるためには、結局、諦めずに考え続けなくちゃいけないのです。
叡智を手にする瞬間
悩んでいる人を見ると、世界がどんどん狭くなっていって、自分が見ている世界しか信じられない…といった、視野の狭さを感じることがあります。
でも本当は、私たちは皆、目に見えないものに包まれて暮らしているんですよね。
目に見えないものの中で、安心して伸びやかに生きるなら、「きっとこうに違いない」と信じるものが必要で、その答えは自分の中にしかないということなのです。
だから、途中で諦めず、辛抱強く”考える”。
考えて、考えて、考える。
忍耐強く、辛抱しながら考えていると、ハッ!とする瞬間がやってくることがあります。
全てがひも解ける、ハッとする瞬間です。
これが、まさに
”手応えを感じる時”=叡智(優れた知恵)を手に入れる瞬間
なのです。
人は大いに悩んでいいです。
でも、グルグル回っているだけだと感じたら「大丈夫、答えはもう持っている」と思いましょう。
そして「悩む」から「考える」に変えていくのです。
本当はどうしたい?
何が正しいと思っている?
私はどんな答えを探しているの?
そう考えてみるのです。
実は考え始めた瞬間から、自分はもうこれまでのステージにはいないんだそうです。
次に向かって、歩みを始めているんですって。
考え始めた結果、期待していたところには行き着かないこともあるかも知れませんが、間違いなく、それまでのステージから、次のステージに上がっている、成長できているんですって♪
ぜひ一緒に、”悩む”から”考える”ことを始めてみませんか?
鶯千恭子(おうち きょうこ)