鶯千恭子(おうちきょうこ)
幼少期の愛着形成は、人格を形作り、後の人生の歩み方に深く影響を与える、大変重要なプロセスです。安定感に満ちた愛着は、傍にいる大人との心地よい感情の響き合いが欠かせません。そして、それは家族というユニットが健康に機能することで促されます。子どもだけでなく、夫婦や家族が幸せに満たされているかという視点を持ち、関わっていけるプロを育てる活動をしています。【家族支援マイスター養成講座受講受付中】
パーソナリティとは考え方や行動を特徴づける一貫した傾向のことで、ペルソナ(仮面)を語源に持ちます。生まれ持つ気質+後天的に作られた性格+能力の複合体と考えられることが多いです。ある意味、人格は気質を活用して環境適応し続けた結果の生き延びのカタチなのかも知れません。
子どもの特性を知って、上手に育ててあげるための知恵をお届けします。生まれ持つ特性は宝物!その宝物を「生きる武器」に育ててあげればいいのです。子どもの持つ特性を歪めて見ないで、魅力に仕上げてあげてください。
人生100年時代といわれる今、50歳は折り返し地点。 子どもも育ち上がり、自分のために使える時間が一気に増え、残された人生を豊かに生き切ることを目的に据え、もう一度自分の人生をじっくりと考える大事な分岐点でもあるのです。 誰かのために、家族のために、そう頑張ってきた50代が、今度は自分のために残された時間をデザインするのです。 豊かな人生をデザインするためには、「幸せとは?」「死とは?」「老いとは?」「愛とは?」など、たくさんの哲学が必要です。 なぜなら、自分の人生を自分でデザインするのですから、自分の判断でたくさんの選択をしていかなければなりません。 「選ぶ」「判断する」ためには、軸が必要です。 その軸づくりを少しでも楽しんでいただけたらと思います。
人はそれぞれに固有の【感情取説】を持ちます。 感情の取り扱いが苦手な人は、単純に”自分の感情の性質”を知らないだけ。 つまり「どんな場面で」「不安感情がどれくらいの強さで湧き起こり」「どのように鎮めているか」というパターンを持ち、それが自分や周りの人にとってどんなに非効率であっても、効果的だと一度記憶してしまった場合、つい、くり返してしまうのです。 感情の持つ性質を知り、自分が知らず知らずに身に付けた感情処理パターンに気づけたら、もっと効率的な、新しい取り扱い方を学習することができるのです。 人生を豊かにするための【感情取説】をぜひ知ってください。 きっと何かが変わります。 ご自分の人生が、そして、大切な家族が、幸せに包まれることを応援していきたいです。
多くの人が、子育てとは、子どもために一生懸命になることだと思っていると思いますが、私は、実は自分のためでもあるなと思っています。 なぜか子どもの成長が気になって仕方がないという時などは、子どものことを一生懸命気にしているつもりでいて、実は、自分の育て直しをしているということがあるのです。 「本当はこうして欲しかった」「こんな言葉をかけてもらいたかった」ということを、今度は、自分が自分の親になって、自分のためにしてあげる。 二度、三度と、子ども時代を体験できるのは、子育てをす
こんにちは。 公認心理師の鶯千(おうち)です。 今回は「記憶を消す」という生き延び戦略と、背後に隠されたその人の持つ大きな力の存在についてお伝えしたいなと思います。 ギリギリの選択カウンセリングをしていると「覚えていない」「思い出せない」「記憶がない」という方とよく出会います。記憶に空白があるという時期は人それぞれで、幼少期のこともあれば、ほんの数年前ということもあります。 ただ、共通していることがあります。 それは、どれも、とても苦しかった時期の記憶を失っているという点
こんにちは。 公認心理師の鶯千恭子です。 今回は、心を休めるための方法として、グラウンディングをご紹介します。 グラウンディングとは健康法の一つで、身体で直接自然に触れるというものです。 裸足で土の上を歩く 素手で樹木を触る 芝生の上に寝転がる 地面に腰を下ろす などいろいろあります。 電気機器に囲まれた生活で、四六時中パソコンやスマホを眺める生活には、意識したデジタルデトックスが必要です。 グランディングの効果は、自律神経の働きを鎮めて、ちょうどいい覚醒状態を作り出し
偏った考え方をしていると、偏ったものの捉え方が固定されていきます。 その結果、関係性の悪化につながったり、生きずらさを招きます。 例えばの話。 知り合いに送ったLINEに既読がつかないとしましょう。 すると「あ、無視された」と考える。 すると「どうせ自分は嫌われているんだ」という考えが浮かんでくる。 すると「世の中の奴らはみんな自分のことを馬鹿にしている」という考えが浮かぶ。 すると「人なんか信じちゃいけない」と考えるようになる。 そして「ほらやっぱりね、人は信じちゃいけな
確かにそう。 強い不安を感じた時に、ちゃんと向き合って対処しておかないと「次、同じようなことが起こったらどうしよう…」と怯えるようになります。 そして、小さな不安要素も見過ごすまいと、不安要素にばかり気取られ、集中力が下がります。 そして、それらしきものを察知した時には、鼓動が高まり、全神経がそこに奪われ、これまで以上に不安の強度が増すんです。 一目散に逃げれば、その場は一時しのげます。 でも、それは同時に、不安の感度を高め、もっと強く恐怖を感じるようになってしまうので
感情が暴走しがちな人にオススメな方法があります。 それは、感情を言葉にするということ。 そうすることで、感情をコントロールできるようになるんです。 生まれたての赤ちゃんはよく泣きますよね。 お腹が空いていても泣くし、眠くても泣きます。 お母さんの姿が見えなくでも泣くし、おむつ が濡れても泣きます。 ただ、自分がなんで泣いているのかはわかっていません。 「あらあら、寂しかったのね」 「まあ、眠かったのね」 といって不快な感情を取り除いてくれることで、いろんな種類の感情がある
ガスティング。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。 「ガスティング」とは、巧みな心理的操作を行うことで、相手が自分の認識が間違っているのではないかと疑うように仕向けていく、心理的虐待の一つだといわれています。 マニピュレーター に似ている 調べていくと、自分の支配下においてコントロールしようとするところは、マニピュレーターによく似ています。 (マニピュレーターについてはこちらをご覧ください) マニピュレーターのように、集団の中で自分の価値を高め、利益を享受しようとす
こんにちは公認心理師の鶯千恭子(おうち きょうこ)です。 今回は「仕返しの罠」について学んでみましょう。 仕返しの罠「仕返しの罠」とは、傷つけられたことに対して強い怒りを感じ、許せない!と思ったり、同じような目に合わせてやる!という心理が働いた時に、隠れた罠にはまらないように注意しましょう。という意味だと思ってください。 仕返しを企むというほどではなくても、陰で悪口を言うという程度のことも含みます。 理不尽なことをされたり、傷つけられれば、誰でも多少なりとも相手が同じよう
ある療育施設でのお昼寝の時間のことでした。 職員が足りないので手伝ってほしいといわれ、ある男の子のそばにいき、寝かしつけのお手伝いをしていました。 その子は少し言葉が遅く、たどたどしいながらも会話ができる男の子でした。 手足をさすりながら、「いい足」「素敵な手ね」と声をかけると、笑みを浮かべてうっとりとした表情を見せます。 と、その時です。 首からかけていた携帯がブルブルと動きました。 さすっていた手を止めてスマホの電源を切り、再び今度はお腹をさすり始めました。 すると
愛着形成の重要性は、いくら言っても言い過ぎることはありません。 なのに何故、人々は愛着を軽視してしまうのでしょう。 いや、軽視しているつもりはないのかもしれません。 むしろ、それ以上に気を取られてしまうことがたくさんあるのかもしれない。 目につく子どもの言動だったり、冷ややかな周囲の目だったり、ちゃんとした子どもに育てなくちゃいけないというプレッシャーだったり。 心の余裕を失えば、子どもの心を感じることができなくなります。 心の余裕とは、努力してつくるものではありません。
私のところには「叱り方がわからないんです」という声がよく届きます。 そして、それと同じくらい「ほめ方がわかりません」という声も届きます。 なので今回は、ほめ方・叱り方のコツについて記しておくことにしますね。 支援者の方だけでなく、子育て中の方もぜひ参考にしてみてください。 叱る時の心得 まず初めに、叱る前にぜひ心得ておいて欲しいことがあります。それは「叱るとは相手を不快にさせること」だという認識を持つことです。なぜなら、子どもの要求に対して「NO!」を提示し、気持ちにブレ
「情緒的利用可能性」という言葉をご存知ですか? これは、子どもが不安に襲われた時に、そばにいる親を頼りたいと思うかどうかという、あくまでも子ども側から見た判断指標です。 この言葉が生まれる背景には、ちょっとした経緯があるので、それを簡単に説明しましよう。 かつて愛着形成に関する研究がありました。 子どもが愛着を形成する際、親のどんな要素が最も重要な鍵を握るのかをエインスワースらが研究をしたのです。 その時に立てた仮説指標は4つ。 1.「敏感性」か「鈍感性」か 2.「協調
祭りの季節です。 祭りには不思議な力があります。 一つはリズム。 「わっしょい、わっしょい」もあれば「せや、せや」もある。 地域によって声かけが違うのですが、共通しているのがリズムです。 速さでいえば、1秒間に2回のリズムでしょうか。 このリズムには、不思議な力が秘められているのをご存知でしょうか? 人間のからだに1秒間に2回の速さのリズムを刻むと、安心感をもたらすセロトニンが放出するというのです。 このことを発表されたのは「セロトニン研究」の第一人者である東邦大学の有田
嘘をつくのがやめられない癖を虚言癖(きょげんへき)といいます。 本人は嘘をつくのをやめたいと思っているのですが、ついつい嘘をついてしまうというちょっと変な癖です。 「え?嫌なら嘘をつかなければいいじゃない」と思うかもしれませんが、それがなかなか難しいのです。最初は小さな嘘だったものが、その嘘がバレないようにするために、更なる嘘をついてしまうという厄介な性質です。 今回は、そんな変わった癖を持つ人について考えてみたいと思います。 嘘の共通点嘘がやめられないとはどういうこと
情動恐怖症とは、感情をそのまま表現することを苦手とする人のことを指します。感情がないわけではありません。ただ、感情を表現することに、ある種の罪悪感や不安が襲ってくるため、無意識にブレーキをかけてしまうのです。 日々感情豊かに生きている人にとっては、想像がつかないことかもしれませんね。でも情動恐怖症という概念を知ると、人が生きていく上で大切なもの(感じ方・感情表現の方法・考えのすすめ方・価値観など)が、学習によって身につけることに驚かされます。 情動の誤ったレッスン情動恐怖
「発達性トラウマ」という言葉を耳にすることが増えてきました。 この言葉は、ベッセル・ヴァン・デア・コークさんというオランダ出身の精神科医が提唱した言葉です。ただ正式な診断名ではありません。ですが、この考え方は、多くの人の苦しみを紐解く役割を果たしているなと感じています。今回はこの「発達性トラウマ」について解説してみたいと思います。 トラウマの分類トラウマというと、思いつくのがPTSDという診断名ではないでしょうか? 似たようなイメージを持つと思いますが、この二つの関係性は「