小説と思考実験。 #考えたこと #7/21
『メアリーの部屋』という思考実験がある。
メアリーという少女が白黒だけの部屋で生まれ育って、白黒テレビや本で視覚に関する知識を全て蓄える。
その後、色のある世界に開放されたメアリーは新しいことを学ぶか。というもの。
つまり、赤という色についてすべての知識を持っているメアリーが、赤という色と初めて出会ったとき、彼女の心はどうなってしまうのか。ということ。
感動したり、驚いたりするだろうか。あるいはなんの感情も起きない? 今まで白黒の部屋にいたのに?
こういうの考えるのは面白い。
それに哲学を知るのに、こういう思考実験はいいとっかかりになる。
第一白黒の部屋ってなんだよ。っていうSF的な面白さがあった。
こういうの応用すれば、創作のアイデアになるかもしれない。
これはあくまでもメタファーであり、そこは小説に通じるところでもある。
だから僕は哲学と小説は結構ちかいものだと思っている。
哲学には前の人が言ったことをどういう解釈をし、どういう立場を取るか、という営みがあると思う。
だから批判とか、議論とかになることもあるだろう。
それは小説も同じことなのではないかと思う。
主人公は少なくとも、始めと終わりで、なんらかの変化がなくてはならない。
その変化の過程を描くのが、小説なのだと感じることが多い。
あるいはその変化は小さいものなのかもしれない。
小説も端的に言えば、作者の思考実験なのかもしれない。
そこで考えの違うものが、衝突しているのもよく見る。
なぜかここ最近、建築というものが気になりだした。ぼんやりと。
小説を書いていると、建物を書く機会はそれなりに多い。
場面の始めなんかは、特に描写する必要はある。
そういうときに、自分の知っているところを思い浮かべたりして、書いたりする。
図書館の建築なんかは、かなり面白い。
都内の図書館を見てみても、やたら空間を贅沢に使っていたり、公民館みたいなものがあったり、いろいろだ。
なんでこんなに中央に階段があるのだろう。
なんで文庫の隣が短歌や俳句のコーナーなのか。
一番落ち着いて本が読める席は何回だろうか。
そういうのが気になりだすと、色々なことに関心が向く。
これも、小説を書くことの面白さの一つかもしれない。