ミュージカル映画について。
このあいだ、彼女の提案で『ハイスクール・ミュージカル』という映画を観た。
正直に言う。
僕はあまりミュージカル映画に魅力を感じない人間だった。
観るなら普通の演出の映画のほうがいい、と思っていた。
急に歌い出す登場人物たちに「!?」となってしまって、映画へいまいち没入しきれない。
だからこの映画を観ようと彼女が提案してきたときも、戸惑いがなかったと言えば嘘になる。
「まあ彼女とだし、ツッコミをいれながら観れば……」と自分を納得させた。
自分が映画監督で「ミュージカル映画を撮りませんか?」という仕事がきたら、間違いなく頭を抱えるだろうと思った。
しかし関係なかった。
『ハイスクール・ミュージカル』、面白かった。
主人公の二人が出会い、悩み、それを曲にのせて表現する。
気づいたら、体がビートを刻んでいた。
気づいたら主人公の二人が仲違いをするシーンなんかでは、胸がしめつけられた。
鑑賞を終えた今、この映画を遠ざけていた自分に腹がたった。
そもそも僕自身歌うのは好きなので、キャストさんたちの歌唱力に終始、惹き込まれっぱなしだった。
それに以前も同じようなことがあったのではないか、と思った。
かの有名な『ラ・ラ・ランド』を観たときも、そんな衝撃があった。
僕は、血と汗と肉によって染め上げられた映画が好きな一般男性だった。
恋愛映画もミュージカル映画も興味ないはずだった。
しかし『ラ・ラ・ランド』はそんな常識をいともたやすく蹴散らした。
五回ほど観ているが、いまだに信じられないくらい泣いてしまう。
デイミアン・チャゼルは間違いなく天才だった。
『セッション』も最高だった。
そういえば、アニメ映画『SING』も彼女と観ていた。
僕はこの映画も、とても好きだった。
いつだったか一人で観た『ダンサー・イン・ザ・ダーク』も胸をえぐられた。
そう考えると、僕はけっこうミュージカル映画を観ていた。
そしてそのほぼすべてが、鮮明に記憶されていた。
もうこれではただのミュージカル映画好きじゃないか、と思った。
それは、女の子とか性とかに関心があるのに、「おれ、そういうの興味ねえから」と意地を張って踏み込めない思春期男子学生みたいで、なんだか面映ゆいのだった。
なにかおすすめがあったら、ぜひ教えてください。
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