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ある街のブルーアワー

「ブルーアワー」をご存知でしょうか。
ブルーアワーとは、日の出前と日の入り後に、空が群青色になる時間帯のことです。
太陽は見えないけれど、真っ暗なわけでもなく、かすかにあたりの景色が見えているのです。
私は、ブルーアワーに街の灯りが点き始め、青とオレンジが混ざり合う景色がとりわけ好きです。

今日は、様々な街で出会ったブルーアワーの光景を紹介していきます。

前回につづきギリシャから。
サントリーニ島・イアでは「世界一美しい夕日」が見られると言われています。
その素晴らしい夕日を存分に堪能した後、人々は少しづつ灯り始めた島のヴィラに目を向け、今度はその光景にまた目を奪われることになります。
暖かいオレンジの光と群青色の空と海。
これ以上のブルーアワーに今後の人生で出会えるのだろうか…と思います。

続いてはドイツから。
ロマンチック街道にそびえたつ、かの有名な「ノイシュバンシュタイン城」を訪れました。
この日は城下町に霧が立ち込めていて、なんとも妖しげな雰囲気を演出していました。山の上のお城まで辿り着き、城内ツアーを終えて外に出ると、なんと雲海が見られたのです。
雲海の底に太陽が沈み、お城が本格的な暗闇を迎える一瞬手前、穏やかな青色が広がっていました。青い雲海の上では遠くの山並みとノイシュバンシュタイン城しか存在せず、その世界ではまるで自分も城の住人になったかのような尊大な気持ちになります。

こちらはフィンランドのブルーアワー。
フィンランド人の多くは、湖の畔にmökki(モッキ)と呼ばれるコテージを所有していて、週末や長期休みにはよくそのコテージに行ってゆったりとした時間を過ごしています。
フィンランドにいた時、よく友人のコテージに大人数で遊びに行き、サウナに入ったりビールを飲んだり、ゲームをしたり踊ったり朝まで話したり…と、とても楽しい週末を過ごしていました。
凍った湖の上を歩いてみたり、周りの森の中を散歩したり、大自然を満喫するのも醍醐味です。
前日飲み明かして爆睡するみんなを起こさないように、そっとコテージを抜けて早朝のお散歩に出かけました。
人影無い早朝の静かな森の中で見る、雪化粧された木々を映し出す湖の景色は、非常にフィンランド的だなあと思います。

最後はアメリカ・ニューヨークから。
イーストリバーを挟んだ対岸から見たマンハッタンのビル群。
高校時代の友人がニューヨークに旅立って1年ほど経った頃、1人で会いに行きました。
友人のアパートに滞在させてもらいながら、スーパーに通って一緒に料理したり、図書館でのんびりしたり、日帰りで少し遠出したりと、ニューヨーク住人気分が味わえた夢のような数週間でした。
ある日友人が連れて行ってくれた公園で、マンハッタンを一望できました。太陽が沈みいよいよマンハッタンが本気の夜景姿を見せ出す一瞬前、青色の空の中で無数の灯がチカチカと輝きだしました。この時初めて自分がブルーアワーの光景が好きであることを意識するようになりました。

まだまだ見つけたいどこかの街のブルーアワー。
また気軽に旅行できるようになるその日まで、過去に出会えた光景を胸に抱えて日々を生き抜きます。

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