僕らと命のプレリュード 第50話
──旭が中央支部を訪れる数時間前のこと。
眞冬は、道路に広がる散った桜の花びらを踏みながら、夕暮れの町を歩いていた。彼の片手にあるのは、アビリティ課から支給された、アビリティ感知装置。小さなタブレット端末のそれは、周辺のアビリティエネルギーを感知して知らせてくれる。
アビリティが発動された後にできる、エネルギーの残滓。肉眼では確かめられないほど微量なそれは、発動者のアビリティによって形状を変える。そして、アビリティを応用して作った装置でも、残滓は残る。例えば、特部で使