パンやお菓子の美味しさを保つ乳化剤
◇乳化剤って何?
「乳化剤」は言わば、
「水と油をつなげてくれる物質」です。
本来、「水」と「油」は混ざりません
たとえ2つを合わせて、激しく攪拌したとしても
時間が経つにつれてまた分かれてしまいます(分離)
しかし、「乳化剤」を使用すると、
水と油を混ざり合った状態にできるのです。
これは「乳化剤」が、
親水基(水になじむ箇所)
親油基(油になじむ箇所)
2つが合わさるのを取り持つからです、
これを「乳化」と言います。
◇パンやお菓子に使用する「乳化剤」
パン作りやお菓子作りにおいて、
「乳化剤」となるものは非常に身近なものです。
一番わかりやすいものですと
卵黄
バター
などがそれにあたります。
正確に言うと、中に含まれている
「レシチン」と呼ばれる成分が
「乳化剤」です。
◇「乳化剤」がパンやお菓子の美味しさを保つ
作りたてのパンやスポンジ生地のふんわりとした
美味しい食感の出来は、
「グルテン」の粘弾性
「デンプン」の糊化と老化
二つの状態に左右されます。
そして「乳化剤」はこの二つの要素に働きかけて
生地の美味しさを保つ役割を持っているのです。
○「グルテンの粘弾性」への影響
乳化剤は生地の骨格を成すグルテンの分子同士を、
滑りの良いなめらかな状態にしていきます。
そうした生地はグルテンの伸びが良く、
焼くとふっくらと大きく膨らみます。
○「デンプンの糊化、老化」への影響
「乳化剤」はデンプンである
「アミロース」や「アミロペクチン」にも作用します。
アミロースと乳化剤が結合すると、
糊化した後にゲル状構造を作らなくなります。
また、糊化したアミロペクチンの枝状の構造に
乳化剤が結合することで柔らかく糊化した状態になります。
すると、デンプンの「老化」が抑えられ、
時間が経ち、冷えて放置された後も、
やわらかい食感をある程度保持することができるのです。
※bitesjapansquadの投稿 : Ironman_fe