油脂を含む卵黄が泡立つ理由
スポンジ生地は卵白と卵黄を別々で泡立てる「別立て法」と、全卵から泡立てる「共立て法」という2つの作り方があります。
基本的に卵白は、油脂が入ると気泡の膜構造を破壊してしまい、
泡立たなくなってしまいます。
ではなぜ、共立て法は油脂を含む卵黄が混ざっているのに泡立つのでしょうか。
⚫︎卵黄が泡立つ理由
これは、卵黄に含まれる油脂の構造に秘密があります。
卵黄には30%以上の油脂が含まれていますが、それらはバラバラに存在しているのではなく、「レシチン」という乳化作用を持つ被膜で表面が保護されており、細かい油滴状の構造をしています。
そのため、直接卵白の気泡を破壊することがないのです。
ただし、卵白だけで泡立てる場合に比べると、卵黄が混じった状態では粘りが強く、どうしても泡立ちが弱くなってしまいます。
そもそも泡立ちが起きるのは、表面張力が空気を一緒に抱え込み泡立ちます。
そこで、表面張力を弱め泡立たやすくする方法があります。
それは「熱」を使用する方法です。
表面張力は温度が高いほど弱くなります。
そうすると空気を抱え込みやすくなり、
卵黄が混ざった泡立ちにくいものも泡立てやすくなります。
ただ、卵のタンパク質は50℃を超えると熱凝固が始まってしまうため、注意が必要です。
卵を温める際には、砂糖を加え、一部だけに火が入らないように全体を混ぜながら33〜37℃に温めましょう。
(砂糖を加えると卵に直接的にに火が入るのを抑えてくれます。)
※もちろん温度帯は目的や求める最終的な状態によります。
大塚式では
ビスキュイジョコンドなどナッツの油脂を配合するために、
比重より安定を求める場合、「熱をつけない」という選択肢を取る場合もあります。
※bitesjapansquadの投稿:kanade_mt