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チョコレートのテンパリング

◉チョコレートの状態変化について


まずチョコレートに含まれるカカオバター

冷やし固める方法により、


様々な結晶型に変化することが知られます。




溶かしたチョコレートをそのまま放置して固めると、


カカオバターが不安定な結晶のまま凝固するため

"ブルーム"が起きてしまいます。


一方同じβ型の結晶でも、

Ⅴ型の結晶は粒子が微細で融点が33℃と

人の体温よりも低いため、口の中でサッと溶ける


なめらかなチョコレートに仕上がります。

最も安定性が高いのはⅥ型ですが

結晶は口溶けが悪く粗大になってしまうため、

なめらかで美味しいチョコレートをつくるには

Ⅴ型に統一しておくことが最も理想的です。





◉テンパリング中の結晶の動き


まず溶かしたチョコレートを冷やしていくと


それまで自由に動き回っていた油脂の分子が

あちこちで寄り集まってルーズな並びの悪い
結晶ができ始めます。


冷たいボウルの底など特に温度が下がった部分では、Ⅰ型・Ⅱ型の結晶ができますが

Ⅰ型は瞬時にⅡ型へ、Ⅱ型は短時間でⅢ型へと


より安定な型へと次々に転移し、


結局チョコレートは主に不安定なβ‘型(Ⅲ型・Ⅳ型)の結晶が混じり合った状態で固まります。

しかしチョコレートが固まったからといって安心はできません。


外から見ると固まったように見えていても


β‘型の結晶はまだまだ不安定な状態であるため


保存中に次々と安定な型へと結晶型の転移が
進んでしまいます。


◉テンパリングの原理


Ⅴ型の結晶型が自然にできるようになるまで待つ
というのは、

膨大な時間がかかってしまいます。


そのため、次のような原理を利用します。

①安定な結晶型ほど融点が高く、
不安定な結晶ほど低い温度で溶ける。

②溶けたチョコレートの中に微細なⅤ型結晶を
作っておくと、冷やし固めた時にその結晶を
"核"として全体がⅤ型結晶に統一される。

③静置しておくのではなく、溶けたチョコレートを攪拌し続けると、結晶型の転移が促進される。




見た目も味も全く別物に変化させてしまう

カカオバターの結晶。


実に興味深いですね。



※bitesjapansquadの投稿:きぴり

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