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yoming
カスタードクリームとデンプン
カスタードクリームを作る時、
「コシが切れるまで加熱」とよく言われます。
その理由は、小麦粉のデンプンによる「糊化」が
カスタードクリームの仕上がりに関わってくるからです。
◇加熱によって変化する糊化の状態
①炊き始め
小麦粉を混ぜた後、カスタードクリームに
火を通しつつ温度を上げていくと50℃あたりで
デンプンによる粘りが出始めます。
そして95℃に達した時、その粘りは
とても強くなります。
ここまでで「糊化」は十分に出来てはいますが、
カスタードクリームの場合、
この段階で、クリームを火からおろして冷めると
なめらかさがない、コシの強すぎるクリームに
なってしまいます。
②さらに加熱
強い粘りのある状態からさらに加熱していくと
急に粘りが低下して、クリームが
流れるようなとろみに変化します。
これを、「ブレークダウン現象」と呼びます。
これはデンプンを包んでいたデンプン粒が
加熱による膨張で壊れてしまったためです。
膨らんだ「デンプン粒」は粘りの元なので
そのコシが切れてなめらかな状態に変化したのです。
③火から下ろす
ブレークダウンしたクリームを火からおろし、
冷やすことで、外に溶け出していたデンプンが
ゲル状の構造をつくり、カスタードクリーム独特
のなめらかで重厚な口当たりを生み出します。
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上記のグラフは「アミログラム」と呼ばれます。
温度とデンプンの経時的変化を測定したものです。
スポンジ生地やタルト生地、パンは水分量が比較的少ない配合のため、「糊化」が抑えられ粘りも少なめです。
水分量が小麦粉よりもはるかに多いクリームやソースなどはデンプン粒が破裂するまで糊化が進みます。(ブレークダウン現象)
※bitesjapansquadの投稿 : Ironman_fe