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パンケーキにできることはまだあるかい

パンケーキ、それは朝の幸福。
温かい黄金色の夢。

瞬時にほどけていくバターをどこまでも受け入れる、慈悲深い生地。
艶やかに光るシロップが流れ落ちる様は、まるで太陽が朝露に輝きを与えるよう——。



いいですよね、パンケーキ。
おいしい。わかってる。みんな大好き。

朝ごはんに出てくると、いいんですか、いいんですか? 朝からこんなにいいんですか……? って逆に不安になるくらい、特別感ある。

でもね、思うんです。

パンケーキ、本当はそんなもんじゃねぇぞって。
もっと実力あんぞって。

実力の方向性がね、違う。
スイーツを思わせる幸福ごはん的な面だけじゃなく、食事としてちゃんと戦える子なんです。めちゃくちゃ頼れる。

正直、背徳感や幸福感のために、平日にパンケーキ焼くか? って言われたら、悩ましいとこだと思います。朝はそれどころじゃない感がすごい。

でも、ポテンシャルが鬼高い、超優秀な主食だとしたら……?

量って混ぜるの5分、フライパンで焼くのは、うーん……7分ぐらい? その時間をかけるだけのメリットがあるのではないかと思うのです。

個人的には、パンケーキを子どもの朝食の最強メンバーの一人として推してます。

今日は、パンケーキにできることについて考えていきたいと思います。


パンケーキはHUNTER×HUNTERのビスケ

そう、パンケーキはビスケ(ビスケット・クルーガー)みたいなもんです。

ゴンとキルアに出会ったときの、可憐なツインテール少女の姿も確かに本物だしかわいい。でも、超実力者で、真の姿は筋肉隆々っていう、あの感じ。

『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)より


パンケーキは、↑こっちじゃなくて、

『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)より


↑こっち。

みてこのたくましい腕。頼り甲斐しかない。


戦闘力①:バランスばっちり

どの辺がすごいかっていうと、まずバランスです。

子どもって、朝「パンだけ」とか「気づいたら炭水化物ばっかり」みたいになりがちですよね。

つい先日、雪印メグミルク株式会社の朝食調査(全国の3歳~小学校低学年の子をもつ母親800名が対象)でも、朝「パンだけ」の日が週2日以上の家庭が約6割という事実を叩き出していました。


わかる。忙しい朝だし、作るのも食べさせるのも大変。もう、食べてくれればなんでもヨシ。

でも、理想を言えば「野菜」「タンパク質」あたりは食べさせたい。栄養素単位で言ったら、鉄もカルシウムもビタミンB群もCもDも、あれこれモリモリ摂らせたいわけです。

バランスを考えた場合、主食がパンケーキだと、おかず要るやんってなりますよね。

野菜は……なんかオシャレなサラダとか、タンパク質はええと……ふわトロのスクランブルエッグとか、ちょっとみんな今日だけは頑張って集合して! ワンプレートにどうにかして乗っちゃってー! みたいなゼェゼェハァハァ感ありますよね。


安心してください。

おかずはパンケーキに混ぜ込んで、一緒に焼けます。主食だけで、おかず的バランスもまるっといけます。


タンパク質でいったら、「しらす」「チーズ」「きな粉」「枝豆」「ツナ」あたりは、余裕で生地に混ぜ込めちゃう。

野菜だって「にんじん」や「りんご(果物だけど)」すりおろしたり「コーン(穀物だけど)」入れたり、なんなら「野菜ピューレ」とか「野菜ポタージュの余り」を入れたっていい(ちょっと足りない分はスープとか果物でファイっ!)。

「すり胡麻」「桜海老」「青さ」とか入れたら、風味もミネラルもバッチリなわけ。いいことしかない。


パンケーキ、天才……?


おにぎりやケークサレのようなイメージで、どんどん具材を混ぜ込んじゃってください。具材モリモリパンケーキis神です。

個人的なおすすめは、【すりおろしにんじん×レーズン×シナモン】。

ナッツ入れてもいいし、粉の一部をきな粉にしても美味でハマってる。シナモンの香りで、にんじん臭さがまったくない。キャロットケーキ感覚。

にんじんは丸ごと一本分。レーズンとナッツもたっぷり。


【しらす×青のり×チーズ】
とか【コーン×ベーコン×枝豆】とかもウンマイ。

和っぽい具材も合うんです。
常備菜のひじき煮とか余ってたら、入れちゃいましょう。刻んだ大葉加えてもいいし、ストックしている冷凍野菜なんかを加えれば、レパートリーも広がりそう。


戦闘力②:変化に強い

パンケーキといえば、主要なメンバーは「小麦粉、卵、牛乳、砂糖、油、ベーキングパウダー」あたりが基本です。

参照として、我が家でよく作るベースはこちら。

卵 1個
メープルシロップ 適当
豆乳 100g
米粉 100g
ベーキングパウダー 4g

5人分の朝ごはんには足りないので2倍量で。余ったら冷凍。

油は、入れたり入れなかったり。
ゆるければ粉を足すし、もったりしすぎたら水分を足します。


朝からこれだけの材料が必要だと、正直ちょっと手がかかる子だなって思いますよね。やってらんねーぞと。腰が重くなるわけです。

パンなら、袋から出すだけ。ご飯だったら、炊くのに必要なものは「米」「水」のみ。

時代はタイパ重視ですから、手間がかかるパンケーキはどんどん朝食の2軍、3軍に落とされていくのは必然です。

最悪なのは、朝ごはんにパンケーキを想定していて「あぁ! 小麦粉が20g足りない!」とか「牛乳の賞味期限切れてた!」とかね。ありえます。なんせメンバー多いから。

全員見てるつもりでも、つい管理が行き届かなくなっちゃう。ボロボロのチーム体制で「監督、これじゃ戦えません……!」って、メンバーから泣きつかれるかもしれない。

でもちょっと待って!
パンケーキにできること、まだあります!


1)ベースの粉、だいたいいける

小麦粉だろうと、米粉だろうと、いける。

もし足りなくなったら、なんらかの粉に頼ればいい。きな粉とかココアとかミロとか、おから粉(微細タイプがおすすめ)とか、粉じゃなくても豆腐とかおからそのものとか。

家にある粉で「〇〇 パンケーキ レシピ」つって検索してみたら、多分ヒットする。ヒトの叡智と経験値とシェア精神、なめたらアカン。

我が家では、パンも焼けるタイプの米粉をドドーン! と常備しているので、足りないことがほとんどないのですが、栄養面や味の変化を期待して、よくいろんな粉を混ぜています。

※PRでもアフィでもなく、ただのおすすめ。以下同様

パン的なものを食べる日も、ベースは米がいいなっていうところで買い始めたけど、小麦と変わらないおいしさでおすすめ。

【青汁パウダー×バナナ】とか【トマトパウダー×バジル×チーズ】もめちゃんこウマイ。

メインの粉の1割ぐらいを別の粉に置き換えることが多いですが、レシピはあってないようなもの。感覚でOK。


2)水分、もっとなんでもいける

基本的には牛乳豆乳あたりを使う人が多いと思います。ヨーグルトを入れるレシピもありますよね。

でも、ない! ってときは、野菜ジュースとかスムージーとか、昨日の残りのポタージュとかでもいい。牛乳やヨーグルトとミックスさせてもいい。最悪一部水でもなんとかなる。

もちろんどんな水分を入れるかで、出来上がりの雰囲気は変わってくるけれど、家庭の朝ごはんとして食べる分には全部だいたいおいしく仕上がる。

いろいろ寄せ集めてもちゃんとパンケーキになる。


この安心感、強すぎませんか。


我が家は牛乳を飲む文化がないため、常温OKの200mlの豆乳をストックしています。ほぼ調理用です。

これ、豆臭さがなくておいしいんだよな……。


3)砂糖、もちろんなんでもいける

甘みに関しても同じ。
家にある甘いやつ、雰囲気で入れたらだいたいいける。

砂糖、蜂蜜、ペープルシロップ、甘酒、バナナ、すりおろしりんご……。どれでもおいしくできる。

ちょっと甘みが足りないときは、刻んでドライフルーツを入れたりすればアクセントになるし、そもそも甘さをグッと控えて食事系に寄せたっていい(甘みゼロだと物足りないので、食事系のベースにも甘味は必要)。

あと、甘味控えながらも、バニラの香り足しちゃうとよりおいしくなります。

これ、数滴で、天然バニラの香りがブブブワァァァ! って。一気に格が上がる感じで重宝しています。

全然なくならなくてコスパがいいし、まじりっけないバニラだから子どもにも安心。これさえあれば、自宅がパンケーキ専門店になったり、ならなかったり。


配合ミスって「なんかペシャッとしちゃったなぁ」ってときは、溶けるチーズでも挟んでパンケーキサンドにしちゃえば気になりません。

勇気をもって、臨機応変にいっちゃいましょう。



「おい、パンケーキミックス粉はどうした」「もしかして著者は、パンケーキミックス粉を知らない原始人なのでは? 」と思われた方、違うんです。

確かにミックス粉は便利だし、今は砂糖不使用とか、米粉ベースとか、好みで選べて最高だと思う。でも、粉から作ると圧倒的に融通が効くし、栄養も入れ放題だから、騙されたと思って自家製ミックスしてみてほしい。

もちろん、お気に入りのミックス粉があれば、ガンガン活用しつつ、ぜひ具沢山にして戦闘力を上げてみてください。


戦闘力③:これだけ食べればOKの安心感

お子たちは、普段ご飯をモリモリ食べてくれますか?
米派ですか? パン派ですか?

食べるだろう、食べてほしいと思って作ったものをガッツリ残されたら、めちゃくちゃ悲しいですよね。

心で泣きながら「今日の悲しみは琵琶湖の深さだな」とか「猪苗代湖だな」とか「琵琶湖と猪苗代湖ってどっちが深いんだろう……」とか考えているうちに気が紛れていくわけですが、食べてもらえないといろいろ心配にもなるわけです。

血糖値が下がりすぎて、お散歩中に我が子が道で倒れるかもしれない。お腹を空かせすぎて、お腹がなる音で授業を妨害し、一生「はらへらしー」というあだ名で笑われるかもしれない。

あぁ、心配だ! 心配すぎる!

でも、パンケーキなら食べてくれる率上がりませんか? 多分ね、上がる。だってみんな大好きだから。道で倒れないし、変なあだ名でいじめられることもありません。

和風に寄せて、しらすとか海苔とか混ぜ込んじゃってたって、わーい! って食べてくれる。ほんと、混ぜる手間、焼く手間はかかるけど、親子それぞれにメリットしかないのです。

気分や機嫌で残されても、少食の子でも、主食の具沢山パンケーキを何口かパクパクしてくれたら、オッケーです。

だってその一口に、炭水化物もタンパク質も、ちょっとの野菜もミネラルたちも大集合してるから! 最高!


結論:パンケーキにできることはめちゃくちゃある

パンケーキの圧倒的ポテンシャルが明らかになってしまいましたね。

ふわふわした幸福の象徴のような雰囲気を持ちながら、秘めたパワーがえぐい。それがパンケーキなのです。

今これを書いているのは明け方ですが、今日の朝ごはんも我が家はパンケーキの予定です。
しらすをメインに、ブロックチーズを細かく切ったのと、冷凍コーンと、フレーク海苔を入れようかな。

フレーク海苔も便利です。あえもの、スープにも使えるし、おにぎりの海苔を巻くのが面倒なときに混ぜたりもできちゃう。
生地に混ぜず、パンケーキを焼くときに、刻みタイプを表面にまぶしてもおいしいです。

もはや、プレーンの無垢なパンケーキには戻れません。

好き勝手できるのが、おうちご飯の魅力です。
「我が家の味」を深めていきながらも、たまに専門店で食べるシンプルなパンケーキのおいしさに感動するという、ホームとアウェイの行き来もまたよし。

おいしくバランスよく臨機応変に、おうちパンケーキを楽しみましょう。




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