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弥栄 伊織(音羽屋)
2023年7月17日 03:58
うぅぅ〜ん、ぐぐぐっ〜とのびをした。 のびをしたら あくびがでた。 ふんっと はなからいきならして、 ゆっくりと、まわりをみながら、 たちあがってみる。 すると…、ボクの おはなが、 おいしそうなニオいをかぎつけた。 クンクンクン…、 ひくひくひく…いいニオいだぁ。 クンクン…ひくひく……、 おぉーなんのニオいだぁ。 クンクン…ひくひく…、 スキきなニオいだ。
2023年7月17日 21:27
深淵を覗く時、 深淵もまた此方を覗いている。 フリードリヒ・ニーチェ 著作『善悪の彼岸』よりー 起 ー 冬の凍てつく大気に漂う塵芥が、旭日の光を浴びて、陽の欠片のようにきらきらと舞い散っている。 私は昇る日の冷光を遮ろうと左手を翳し、眩しさに慣れていない目を瞬かせた。 視界が揺らぐ眩暈にも似た感覚に、聴覚が刺激されたのだろうか…、行き交う人々の喧騒が
2023年7月14日 17:27
ー 登場人物 ー俺(おれ) 主人公婆ちゃん(ばあちゃん) 田舎で憑き祓い生業とする俺の祖母役小角(えんのおづぬ) 山岳宗教系の開祖泥捏拗 寧舟(どろつくね ねいしゅう) 謎の黒尽くめママチャリ男雌拳(めふぃすと) 寧舟に付き添うもふもふの猫。逆さもの(さかさもの) 俺が出会した怪異 - 序 - どうやら俺は、この手のモノと妙な御縁があるらしい。 体質なのか、将又そ
2023年7月13日 18:58
炎天の空に、誰かの呼ぶ声が聞こえた。 突然の出来事に、なに事かと辺りを見回すも、それらしき人影は見当たらない。 生い茂る青葉も静かに、風ひとつなく、動くものは無かった。 声は何処から届いたものか。 言葉は判じ得ないが、高音域の人のもののように思えた。 単調に繰り返されたフレーズの、その余韻だけが届いたのだろうか。 真夏の炎天下である。 日中、この暑さに好き好んで出歩く者など居ない
2023年7月13日 18:16
酷く寝苦しい夜だった。 瞳孔が闇に乗じて開き、夜目が利いていくのが分かる…。 くらくらと視界が揺れた…。 ねっとりとした夜気が、眼球に纏わり着く嫌な感覚がある。 ぐっと力を込め目蓋を閉じた。 涙腺から流れだした液体が眼球を潤し充していく。 暫くしてゆっくりと眼を開くと、液体の膜に視界が暈け、一筋の涙が眼頭から溢れ落ちた。 いびつに歪んだ視野が弾け、一瞬だけ闇の濃さが増したようだった