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やわらかcuisine|2.鶏ささみのブランダード

体調がすぐれない、歯が痛む、なんとなく疲れを感じる日など、様々な理由からやさしい食事を欲する場面があると思います。どんな時にもやさしくおいしく食べられる、食感がやわらかくて満足度の高いメニューのアイデアをいくつか持っておくと心強いものです。

今日作るのは、フランス風マッシュポテトの「ブランダード」です。元の南フランス郷土料理では保存食の干し鱈を水や牛乳で時間をかけて塩抜きして使いますが、その代わりに扱いやすく柔らかな食感にやさしい旨みがある鶏のささみを使って作ります。

材料はすべて一つのフライパンで一緒に茹でて、茹で汁に溶け出す素材の持ち味まで無駄なく活かすのが、奥行きのある味わいに仕上げるコツ。

身近な材料で作りやすく食べやすい、洋風メニューのアイデアに加えていただきたい一品です。日々の食事でぜひお愉しみください。

鶏ささみのブランダード【1〜2人前】

・鶏ささみ…1本
・じゃがいも…1個(約100g) 皮をむき、5mm厚さに切って水に浸す
・にんにく…1かけ、半分に切り芽を取り除く
・水…120cc
・塩…1g

〈仕上げ用〉
・牛乳…30cc
・オリーブオイル…10g(大さじ1/2)
・あればドライオレガノ、パセリなどのハーブ類…少々

・お好きなパン(食パン、バゲットなど)
・ゆで卵(半熟)…1個 

✓おいしさポイント
このレシピのポイントになるのは『ささみのほぐし方』。茹でたささみは手でも簡単に割くことができますが、ぜひフォークを使ってほぐしてみてください。より繊維が細かくほぐれてふんわりやわらかな質感になり、マッシュポテトに混ぜた時の一体感が高まってなめらかな舌触りに仕上がります。

やわらかい食べ物は食べたという満足感を感じにくい場合がありますが、やさしい口当たりの中にお肉の旨みが満遍なく行き渡り、お洒落な雰囲気も相まって十分に満たされます。


⒈ささみとじゃがいもを茹でます
フライパンに分量の水と塩、ささみ、じゃがいも、にんにくを入れ、蓋をして中火にかけます。ここで加える塩はそのまま味付けになりますので、多く入れ過ぎないように注意してください。ささみは筋がありますが、ほぐす時に取り除けるのでそのままで大丈夫です。

3〜4分ほど経って沸騰してきたら弱火にして、そのタイミングで一度ささみを裏返し、さらに3分加熱します。

3分経ってささみに火が通ったら先に取り出して、じゃがいもは柔らかくなるまでそのまま5分ほど茹で続けます。

⒉ささみをほぐします
ささみが触れる程度に冷めたら、フォークでかくようにして細かくほぐし(筋はこの時に取り除いてください。)、塩ひとつまみと、オリーブオイル(〈仕上げ用〉から少々を使用)をからめておきます。

⒊じゃがいもをつぶして、仕上げます
じゃがいもがやわらかくなったら一度火を止めて、そのままフライパンの中でつぶします。お湯が残っていますが、素材の味わいが溶け込むスープとしてすべて使いますので、気にせずつぶしてください。

じゃがいもがある程度つぶれたら再び弱火をつけて牛乳を加え、なめらかなペースト状になるように練り合わせます。もし柔らかい場合はそのまま加熱して水分を飛ばし、反対にもっと柔らかくしたい時は牛乳を少量ずつ加えて調整してください。

オリーブオイル、ほぐしたささみを加え、全体に行き渡るように混ぜ合わせて、できあがりです。手持ちのハーブ(オレガノやタイム、パセリなど)があれば少量加えると、本格的な雰囲気が増します。私はドライオレガノを一振り加えています。

お皿に盛り付けて半熟のゆで卵を添え、パンとご一緒にどうぞ。黒こしょうを振ると、味わいと見た目が引き締まります。

パンは定番のバゲットから、食パン、ロールパンなど柔らかくて甘さのあるパンにもよく合います。お好きなパンにたっぷりのせながら、お召し上がりください。水分を多めに仕上げたじゃがいものペーストに細かくふんわりほぐしたささみがしっとりなじみ、そのなめらかさでパンがとても食べやすくなります。

じゃがいもとささみの淡いおいしさに牛乳の甘さ、オリーブオイルの香りが溶け合い、やさしく洒落た気分のする味わいです。

一つの鍋で一緒に茹でて、素材の味わいを余すところなく活かしたペーストは、材料も作り方もシンプルなのにおいしさは十分。食事として、ワインの友として、気分によって色々な場面で愉しめる一皿です。

やわらかcuisineは、シリーズでお届けしていきます。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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美窪たえ|おとな料理制作室
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。