案外なにになっても
生まれかわったらなにになりたいか
と
なにも言わなかったのが悪いのか
生まれかわったら電燈になっていた
夜になると部屋を照らすだけの
ごくごく普通の一般家庭の電燈である
目立つわけでもない
洒落ているわけでもない
ごくごく普通の電燈
たまに雷のせいで役に立てなくなることもある
たまに球切れで何もできなくなることもある
が
これはごくごく普通の電燈のフリをしているだけ
我ながらなかなかのものではなかろうか
今日も私の下では
ごくごく普通の家族が
ごくごく普通の食卓を囲み
ごくごく普通の会話を弾ませ
ごくごく普通の幸せを感じている
ごくごく普通の電燈として眺め
ごくごく普通の電燈として生きている
今度生まれかわったらなにになりたいか
そうだな
案外なにになっても
それはそれで
いいのかもしれない