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ただそこにいるだけ、ではなく実は大切な居場所になっていることもありますというお話し

ただそこにいるだけでいい。

そんな言葉を目にすることも多くなりました。
ですが本当にそれだけでいいのかな?と不安になることもありませんか?
私はとても不安になる方でした。

誰かの役に立ってこそ立場が約束されているような、そんな気分。
ただそこにいるだけではなんの役にも立っていないではないか。
役に立たない=そこにいるだけではダメなんだ、と思うこともしばしばで。
専業主婦で信じるものが少なかった当時の私はそう感じることも多かったです。

子どもたちがそれぞれの場に行き出してからは特にそう感じました。
いつものルーティーンをこなす日々。
時には時間がありすぎて何をやったら良いのかと不安にもなりました。
このままでいいんだろうかという思いで日々悩んでいました。

ですが実はこの「ただそこにいること」がとても大事なことだったと知ることになったのです。


実際にはただそこにいる、だけではありませんでした。
それは常に家族の何かに備えている、状態だったのです。

わが家の子どもたちは喘息持ちです。
季節の変わり目は体調を崩しやすく、1カ月に何度も病院へ行くこともあります。
今季は特に体調が安定せず1週間に3度も病院へ行ったこともありました。
夜中も眠ずに看病する日々です。
咳き込んで吐いてしまうことも多く、その処理や大量の洗濯物に追われる夜が幾度もありました。

私の仕事はそんな事態にいつでも対応出来るようにスタンバイの状態である、と気づいたのです。
この仕事は不定期で1日で終わることもあれば1ヶ月以上続くこともあります。
それでも誰かが不測の事態に対応できる余力があるとお家の暮らしは自然と回っていきます。
実際に看病をしてヘロヘロにはなっていましたが、暮らしは大きく崩れることなく回っていました。
ただそこにいる、それだけの日々もあったかもしれません。
それでもその余力が次の不足の事態への備えだったと思うと、この役割が大事な物であったと気づくことができました。


次に誰かがいると言う安心感はとても大きいというお話しです。

先日、近所の子どもがわが家を訪ねてきました。
その子は長女と同い年、まだ低学年の子です。
時々長女と遊ぶ、近くにお家のある、私も両親と面識のある子でした。
その日は小学校がお休みのため小学生だけが地域に多い状態でした。

聞くと、その子はお友だちと会うために家を出ましたが、お友だちに会うことができなかったと言いました(低学年小学生のあるあるです)。
兄弟と面倒を見てくれている祖母はその子が出掛ける時に一緒に家を出てしまったと言います。
帰りはお昼過ぎになると話していたそうです。
両親は仕事に出ていて朝から不在。
その子はお家の鍵を持っていませんでした。
ここなら長女とその母親がいると思って訪ねてきたと教えてくれました。
その日の風は一段と冷たく感じられました。

よくぞわが家を訪ねてきてくれたね!
寒空の中で寒くはなかったかい?
私たちはすぐにその子をわが家へと招き入れたのでした。
幸いなことにその子どもは特に冷えている様子もなく、長女と遊び始めました。
私はそんな様子に安心して、その子のお母さんに連絡を入れたのでした。

何か困ったことが起きた時、家族ではない人や場所に頼ることができる。
それはとても心強いのではないかと思います。

昔は近所に人が沢山いた、おじいちゃんやおばあちゃんやお母さんも、今はほとんどいません。
それくらい日中は地域に人がいないのが現状です。
それだけ人の目がなくなって、子どもたちを見守る目も少なくなったと感じます。
その分危険も多くなったように感じるのです。
わが子を守りたい。その気持ちは強くあります。
ただそれだけではなく、近い範囲だけでも地域の子どもたちも守れたら。
子育てをしていてそう思うようにもなりました。
それが少し叶った出来事になったのでした。

もちろん相手のご両親からはたくさんの謝罪と感謝の言葉をいただいたのでご心配には及びません。
それよりも何よりも子供が頼ってきてくれたという事実が私には何より嬉しかったです。またいつでも遊びに来てください、と何度もお伝えしたのでした。


昔母が家にいてくれた時のこと思い出しました。
私の母は私が小さい頃は専業主婦でした。
そのため私が学校から帰ると必ずと言っていいほど家にいました。

「ただいま」と言ったら「おかえり」と返ってくること。
それがどんなに嬉しかったか。
当時母のおかえりが聞きたくて玄関で大声を出していたことを思い出しました。
玄関から母のいる居間までちゃんと声が届くように。
その精一杯の声に母はしっかりとおかえりを返してくれていたのでした。

誰かがそばにいてくれることの安心感。
帰る場所があることの安心感。
その安心感は子ども心にもかけがえのないものであると感じていました。

そんな母になりたくて私は専業主婦の道を選んだのでした。
日々の忙しさに追われてすっかりと忘れていました。
誰かがいるという安心感を大切にしたくて。
子どもたちにもおかえりを返したくて。
ただそばにいることを選んだことを。
今回の出来事はそんな大切なことも思い出させてくれました。


ただそこにいるだけでいい。

それだけでいいの?と不安になることもあります。
ですがそれだけで誰かの何かの役に立っていることも実はあるのだと思います。
自身の存在にそこまでネガティブにならずに。
おおらかにその場所を受け入れられたら。
きっとそこはとても大事な居場所になるのだと改めて思いました。

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おトモ
子どもにお小遣いをあげる気持ちで♡

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