
暮らしの提案 : 足し算医療からの脱却
□足し算医療、足し算的な暮らし
肌の異常には塗り薬、
目が乾くなら目薬、
お腹が痛ければ胃薬、
下痢が出たら下痢止め
薬に限らず、
洗濯物の生乾きがにおうから柔軟剤、
柔軟剤の香害は気になるからアロマ、
便秘にはヤク◯ト、
掃除機をかける時間がないからルンバ、
改善のために外から足す、
改善のために新たな手法、開発。
そんな社会全体の流れには
すこしばかり疑問を抱いています。
これが薬ではなく、
本当に効果のある自然療法などであっても、
「今のあなたは不健康かもしれませんよ?」
「痩せて美しくならないと幸せではありませんよ?」
「暗い性格ではいけませんよ?」
と不安をかき立てられるような情報が
多いように感じています。
社会全体がこのような流れですから、
自身のからだの不調に対しても、
当然のように外からの足し算で
良くしようとする考えが先行するのは
当たり前なのかもしれません。
□オートマチックなからだの働き
今、すでに私たちのからだは
無意識下でオートマチックに動いてくれている、目に見えない働きがたくさんあります。
呼吸、
消化、
吸収、
排泄、
心拍、
咳や鼻水、寝返りや汗なんかもそうです。
どれも、普段自ら「やろう!」と思って
やっていることではありません。
要らない菌が入ってこえば、
自己免疫が働いて咳や鼻水で
体外に出そうとし、
暑くて熱中症になりそうなときには
汗をかいて体温を下げようとからだは
働いてくれています。
こういう、オートマチックなからだの働きは
出来るだけ抑えず、自然のままにしておけば
からだは勝手に自ずと良くなる方向に
動いてくれるように出来ています。
わたしのからだは放っておいても
自ずと良くなる。
必要なことは、すでにやっている。
そんな信頼感が生き物のからだや自分自身にうまれることは、有事の時にもあたふたせず、落ち着いて生きられる力強さに繋がります。
しかし、
そのオートマチックなからだの働きを
そもそも感じられないほど鈍化した人が
本当に増えました。
首や肩がガチガチでも気づかなかったり
からだを壊すまでオーバーワークや、
厳しいスポーツの練習をしたり、
そもそもどこが疲れているかも分からなかったり。
鈍化したからだを鋭敏に戻すためには、
自分のからだを内観する体験を積んで
感覚を養う以外に方法はありません。
□呼吸法: 脊椎行気法
野口整体には、
脊椎行気法という呼吸法があります。
自身の背骨を曲がるストローのように
イメージして、その中に呼吸をとおし、
脊椎ひとつひとつの弾力を取り戻す呼吸法です。
応用して、背中だけでなく、
頭や手足にも呼吸を送って
疲れや無駄な力みを抜くことが出来ます。
私自身も稽古のルーティンで行っています。
初めて行ったときは、
なにもわかりませんでした。
出来ているか、出来ていないかが、
わからないのです。
自分の背中が見えないから、
背中を感じることがどうも最初は
できませんでした。
私も整体をはじめる前までは、
からだの内側に感覚を研ぎ澄ます
という経験が乏しかった人でした。
今は背骨に呼吸を通すと、
プチプチとくっついていた脊椎が
離れる感覚だったり、
どこの脊椎がかたいのか、
どうして頭が疲れたのか等、
自分で観察することが出来ます。
本来、呼吸にはこれだけの力があります。
これも、わからないなりに
野口整体を楽しく続けられる仲間と先生に
恵まれた結果のわたしの学びです。

先生と、そのまた先生。
1番右が修行当初の私です。
わからないなりに、
この先生達であれば信頼できる。
ここで学びたいと
必死になった修行時代は
わたしの宝物です。

仲間の1人です。
お互いの身心の調子を赤裸々に
語ることが出来、
お互いにケア出来るというのは
とても心強いことです。
消化や吸収、排泄も同じです。
からだによくない化学物質が
体内に入ろうと、
要るものは消化、吸収し、
要らないものは便やお小水で排泄できる。
消化力、吸収力、排泄力、呼吸力、
すでに自分のからだに備わっている
オートマチックな力が弱っているなら
なにか弱るような原因が生活の中に
あったということです。
すこし生活を見直して
その力を回復させればいい。
そんな考え方が、野口整体です。
□健康も、幸せも、すでにもっているのかもしれない
野口整体では、たしかに手技や呼吸法など
お伝えしますし、身につけることが出来ます。
しかし、本当に1番大切なことは、
人から教えてもらったことではなくて、
学びの中で、
「私には、自ずと治るからだがすでにある。」と、自身の体験から気づくことです。
本当に健康な人は、
健康法を調べることはありません。
今のわたし自身がそうです。
あれこれ情報を探したりせず
その時間を自分の楽しい時間に
あてて過ごしています。
充分、自身の健康は足りているからです。
健康になりたいと思う人は、
漢方やアロマ、マッサージ、心理療法など
数々の健康法を調べて、
なにが自分に合っているかわからないまま
健康のためになにかしなければ。
なにか足さなければ。
と追い求め続ける。
その思考こそが足し算医療と同じ、
病理をうむ不健康さではないか、
と思います。
足し算医療から脱却するために、
おのれの本来の治癒力を取り戻しましょう。
そしてからだへの信頼感を高めましょう。
学び終えた自分と会える日を信じて、
今日も人に触れる稽古を愉しみましょう。
https://otokarada.wixsite.com/-site