中国の妖怪
題名は、『中国の妖怪』ですが、扱っているのは、中国の妖怪に限りません。
妖怪好きの方なら、必読だと思います(^^)
主に扱っているのは、題名どおり、中国の妖怪です。
妖怪の種類を羅列した妖怪事典ではありません。
妖怪のイメージは、どのように形作られたのか、それが、どのように変遷していったのか、を解説した本です。
妖怪好きなら、こういうことを知りたいですよね?
ギリシア神話や、日本の妖怪、はては、メキシコの神像なども参考にしつつ、著者は、中国の妖怪たちを読み解いてゆきます。
著者の目は、実在する動物たちにも、向いています。
妖怪の起源をたどってゆくと、実在する動物に行き着くことも、多いからです。
たいへん博学な著者による「中国妖怪案内」といった感じですね(^^)
二〇一二年現在からは、三〇年近く前に出た本です。とはいえ、内容は、古びていません。今、読み返しても、発見があります。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
なお、以下の目次には、環境依存文字が含まれます。お使いの環境によっては、正確に表示されない文字があります。御了承下さい。
I 妖怪との出会い
1 中山【ちゅうざん】王国文物展にて
中山王国の墓 古代動物園のサル 犀【さい】の角 蛇の角
など
2 角の聖性
犀と牛の混同 犀の角の魅力 インドの一角仙人 一角獣と乙女
など
3 妖怪のイメージ
規範的な動物 規範的な人体と神話 妖怪の定義 ビュフォンの定義
など
II 龍の栄光と堕落
1 龍のイコノグラフィ
戦国時代の刺繍【ししゅう】 動物文か植物文か
2 龍の形態と生態
おなじみの龍 龍顔とは 龍の逆鱗【げきりん】 龍の九似説 龍の生態
など
3 文字のなかの龍
龍という字 甲骨文・金文の龍 ウロボロス またしても角が 図像と文字
4 文様のなかの龍(一)――饕餮【とうてつ】文の謎
青銅器の文様 メキシコの神像 分割再現の構図 分割再現の分布
など
5 文様のなかの龍(二)――線と蛇との出会い
渦巻文様の変奏 雷文と龍文 蛇の登場 線の生命力 文様と文字
6 文様のなかの龍(三)――龍イメージの増殖
気むずかしい龍 龍と雷 虺龍【きりゅう】と蛟龍【こうりゅう】
など
7 天空の龍
ペガソスの「大方形」 中国古代の夜空 二十八宿と四神 夜空の龍の角
など
8 龍の聖と俗
聖なる龍と邪悪なドラゴン 人身蛇尾の神
など
III 霊獣と魑魅魍魎【ちみもうりょう】
1 朱雀【すざく】と玄武
四神と四霊 方角と色彩 中国人と孔雀 鶉【うずら】と孔雀
など
2 麒麟【きりん】と一角獣
お上品な麒麟 孔子と騏驎 さまざまな麒麟論 麒麟イメージの限界
3 人面獣の秘密
合成動物の妖怪たち 人面鳥カタログ ハルピュイアとセイレーン
など
4 人魚の王国
古代の人面魚 人魚と人身蛇尾 真珠の涙 ジュゴンと人魚伝説
など
5 砂漠の水怪
海豚【いるか】と海馬 ヨウスコウカワイルカ 深沙神【じんじゃしん】伝説
など
6 魑魅魍魎【ちみもうりょう】の世界
申歳【さるどし】の「野人」騒動 笑う妖怪たち
など
7 妖怪の環境学
山の観念の変化 風水の思想 四神のいる風景 龍脈と龍穴
など
IV 妖怪と漢の文化
1 鬼の登場
鬼門はどこか プレセペ星雲 鬼門と門神 ひとつ目の鬼
など
2 変身の論理
抱朴子【ほうぼくし】の生命哲学 東と西の変身譚【へんしんたん】
など
3 国家のなかの妖怪――むすび
司馬相如【しばしょうじょ】の「上林賦【じょうりんのふ】」
など
参考文献
中国王朝略表
あとがき