ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)
ハダカデバネズミ、という、奇妙な哺乳類について、書かれた本です。
「裸で、出歯のネズミ」だから、ハダカデバネズミです。
裸、つまり、毛がありません。そして、やたらに前歯(門歯)が大きいです。それに反して、目と耳は、どこにあるのかわからないほど、小さいです。
はっきり言って、異様な姿です。初めて見た人は、これが哺乳類なのかどうかさえ、疑うでしょう。
でも、かわいいです。最近の言い方で言えば、「ブサかわ」(不細工でかわいい)です(^^)
こんな「ブサかわ」な生き物は、どこで、どうやって暮らしているのでしょうか?
それを書いたのが、この本です。
岩波科学ライブラリーのうちの一冊ですが、難しくはありません。図や写真が多く、文章も平易です。すらすら読めます。
加えて、「べつやく れい」さんのイラストが、秀逸です。とぼけた味があります。それでいて、ハダカデバネズミの特徴を、しっかりとらえています。
このイラストを見ているだけで、楽しくなってきます。「科学は苦手」という方でも、このイラストのおかげで、本書を楽しめると思います。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
1 ハダカデバネズミを連れてくる
うす暗がりでうごめくやつら/デバを求めてシカゴへ/そもそものきっかけ/
デバと日本へ
2 何者なのか?
変てこ頭の毛のないやつ/デバの仲間たち/デバの体/ハダカである理由/
一〇倍長生き?
coffee break デバは「歯で見る」――デバンクルス
3 デバのくらし――女王、兵隊、ふとん係
デバの群れ――真社会性哺乳類/女王はつらいよ/王様もつらい/
働きデバと兵隊デバ/デブは旅に出る/肉ぶとん階級
4 ヒト、デバに出会う――研究の歴史
真社会性の発見/地下迷宮/デバなりの「環境保全」/餌を見つけたら/
さまざまな鳴き声
5 飼ってみる
最初の六匹/デバに噛まれる/絶滅の危機/停電と学園祭/
千葉大学飼育施設の誕生/三七歳の女王/理研デバの現在/出産と成長
coffee break ハダカデバネズミ展示一〇年
6 デバ脳をさぐる
なぜデバか/学生たち/オスかメスかわからない/デバの耳/
デバにささげた青春/研究費がとれたわけ/脳と聴覚/
鳴かせてみようデバネズミ/デバの歌
coffee break ネズミは歌う
7 デバに学ぶ処世術
競争と協同/お偉方は働かない?/ヒト社会との類似/デバ研究の今後
あとがき
付録 ハダカデバネズミに会いに行こう!
図版提供・参考文献