誰でもない王女さま
十九世紀の英国で出版された絵本を、日本語に翻訳したものです。
絵を描いているのは、妖精画家として有名な、リチャード・ドイルです。
ドイルの絵が先にあって、その絵を気に入った童話作家のアンドリュー・ラングが、物語を書きました。
絵本なので、文章は、やさしいです。大人ならば、すぐに読めます。
小学生以下のお子さんが、一人で読むのは、難しいかも知れません。漢字に、ふりがながないためです。大人が読み聞かせてあげると、良いですね(^^)
何といっても、ドイルの絵が魅力的です。
あとがきの解説文や、註を合わせて読むと、十九世紀英国の、妖精ブームの様子がわかります。
妖精について知りたい人にとっても、本書は、読む価値があります(^^)
物語は、ラングの創作ですが、典型的な民話に似ています。
ラングは、民話に詳しい人で、民話を参照して創作したことを、隠していません。
だからといって、面白くないわけではありません。物語の約束事を、きちんと踏まえて、面白いつくりになっています。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
まえがき 井村君江
献辞 アンドリュー・ラング
第一章 誰でもない王女さま
第二章 キノコの国
第三章 お別れと再会
解説 リチャード・ドイルの物語の意味と背景 井村君江
註