スチール・ビーチ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
SF長編小説『スチール・ビーチ』の下巻です。上巻から、先にお読み下さい。
舞台は、二十二世紀とおぼしき月です。人類は、謎の侵略者によって地球から追われ、月や、その他の太陽系の惑星に住んでいます。
主人公のヒルディは、物語が始まった時には、男性でした。それが、途中で、女性に性転換します。
また、二十一世紀の現代ならば、致命的な重傷を負います。けれども、きれいさっぱり、元どおりの体に回復します。
どちらも、未来の月世界では、まったく普通のことです。驚異的な科学技術に支えられた、楽園のような世界ですね。事実上、病気も貧困も、ありません。「月経」という言葉さえ、死語に近い状態です。
その社会は、通称、CCと呼ばれるセントラル・コンピュータが支えていました。
CCは、月世界のどの人間に対しても、思いやりがあり、万能と思える支配者でした。「とても優しく、理想的な人格を持つインターネット」のような存在です。
ところが、我らが主人公ヒルディは、そのCCが、深刻な問題を抱えていることを知ります。それは、ヒルディ自身が抱える問題と関わることでした。
奇想あふれるSF作家でなければ、このような物語は、書けないでしょう。
未来のガジェットを、大いに楽しむことができます。「技術的に可能になれば、人類は、性転換や肉体改造を楽しむ、こんな社会を作るだろうな」と予感します。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第二部 有名人たち(承前)
15 リングの王者
16 自然派
第三部 セクション
17 ファッション
18 連載マンガ
19 旅行
20 宗教
21 科学
22 政治
23 戦争
24 誕生
25 死亡
26 論説
著者あとがき
訳者あとがき