ギルガメシュ叙事詩
古代オリエントの神話を載せています。具体的には、現在のイラクあたりを舞台にした神話です。起源は、五千年以上、昔にさかのぼると考えられています。
古代オリエントや、世界史に興味がある方は、必読ですね。
これを読まずに、古代オリエント史を語る資格は、ありません。そう言えるほど、重要な本です。
原典は、粘土板に書かれた楔形文字の文章です。原典そのものに欠損が多いため、翻訳にも欠損が多いです。このため、どうしても、読みにくいです。
まあ、これは、やむを得ませんね。
おそらく、世界最古の物語の一つです。
とはいえ、現代の物語に通じる要素が、いくつも詰まっています。
主人公のギルガメシュは、神に力を授けられた英雄です。
ところが、この英雄、暴君でもあるんですね。他人の妻といえども、気に入った女性を自分のものにしてしまったりします。
たまりかねた人々が、神々に訴えると、神々はその願いを聞き届けました。
大地の女神アルルが、ギルガメシュに対抗できるほど強いヒトを作りだします。その名は、エンキドゥ。
エンキドゥは、野山で、野生動物と共に暮らす、野人でした。
後に、エンキドゥは、ギルガメシュと同じ、文明人になります。
なぜ、そうなったのでしょう? この方法が、面白いんですね。
ギルガメシュが、エンキドゥのもとへ、娼婦を遣わします。彼女に夢中になったエンキドゥから、野生の動物たちが去ってしまいます。
これは、堕落と見ることもできますし、進歩と見ることもできますね。
「女性によって、人間らしさを知る」とは、意味深長です。
もちろん、この後、エンキドゥとギルガメシュは出会い、闘うことになります。
そして、互いの力を認め合った二人は、親友になります。
ね? なんだか、現代の冒険物語に、ありそうな筋書きですよね?
物語の基本は、すでに、五千年以上前に、生まれていました。
この続きは、ぜひ、本書をお読み下さい(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
ギルガメシュ叙事詩
はじめに
第一の書板
第二の書板
第三の書板
第四の書板
第五の書板
第六の書板
第七の書板
第八の書板
第九の書板
第十の書板
第十一の書板
解説
一 発見と研究
二 テキストと関係資料
三 文化史的背景
四 本訳について
参考文献
イシュタルの冥界下り
イシュタルの冥界下り
解説
付録
「天の牛」神話の起源
古代アルメニアに象はいたか
文庫版あとがき