ヴードゥー教の世界―ハイチの歴史と神々
ヴードゥー教を、御存知ですか?
御存知の方も、そうでない方も、ヴードゥー教に興味を持ったなら、まず、本書を読まれることをお勧めします。
日本語で読める、ヴードゥー教の解説書として、本書は、とてもよくまとまっているからです(^^)
副題にあるとおり、ヴードゥー教は、カリブ海の島国、ハイチの民俗宗教です。分類すれば、多神教です。ロアと呼ばれる精霊のような神々が、無数に(!)存在すると考えられています。
ロアには、アフリカの民俗宗教の神々と、共通するものが多いです。
ハイチは、カリブ海にあるのに、なぜでしょう?
それには、ハイチの歴史を知らなければなりません。ヴードゥー教の歴史は、そのまま、ハイチの歴史です。
日本人にとって、ハイチは、馴染みのない国でしょう。ヴードゥー教もまた、普通の日本人には、縁の薄いものです。
ただ、ハリウッドの映画などで、ヴードゥー教の「魔術師」が出てくることがあります。米国にとって、カリブ海の国々は、「裏庭」なので、わりと馴染みがあるんですね。米国のニューオリンズあたりには、ヴードゥー教のコミュニティがあるといわれます。
ヴードゥー教の「魔術師」といえば、いかにも怪しげな悪役のことが多いです。確かに、ヴードゥー教は、魔術的な面が強い宗教です。
でも、その裏には、ハイチの重い歴史がある、と知って欲しいです。
カリブ海やラテンアメリカの国々には、ヴードゥー教と似た宗教が、いくつもあります。キューバのサンテリア、ジャマイカのポコマニアとオビア、ブラジルのカンドンブレとウンバンダなどです。
これらの宗教についても、簡単な解説が載っています。日本語で、これらの宗教について読めるものは、ごく少ないです。貴重な資料です。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
I ハイチとアフリカ人奴隷
ハイチ共和国
先住インディオとスペイン人の進出
アフリカ人奴隷と植民地社会
ダンスと宗教
逃亡奴隷と黒人法典
II ハイチ革命とその後
奴隷たちの蜂起
トゥサンとハイチ独立
新たな弾圧
ハイチ農民社会
III 西アフリカの宗教とその展開
ダホメーの宗教
神と祖先
宗教集団
アフロ・アメリカン宗教
ニューオリンズのヴードゥー教
IV 神々と人間
ロア崇拝
さまざまなロアたち
自然と神
人間と魂
V 儀礼と憑霊
ウンガンとボコール
礼拝の場
儀礼の方法
憑依の精神
註
あとがき
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