古代メソアメリカ・アンデス文明への誘い
中米(メソアメリカ)や、南米の古代文明に興味がある方には、良い解説書です。アステカ文明や、マヤ文明や、インカ文明のことが載っています。
古代文明に興味がある方は、多いですよね。
そのわりに、中米と南米の古代文明を、包括的に解説した本は、少ないです。本書は、貴重な例外です(^^)
写真や図版が多く、わかりやすいです。
ただ、いかんせん、扱っている範囲が広いので、どうしても、概説的な説明になります。その点を、もの足りなく感じる方もいるでしょう。
また、淡々と説明が続くために、飽きてしまう方も、いるかも知れません。
とはいえ、類書がほとんどない中で、たいへん健闘していると思います。
中米の古代文明では、アステカとマヤが有名です。
けれども、他に、古代文明と呼べるものが、なかったわけではありません。オルメカや、テオティワカンや、トゥーラや、ショチカルコがありました。
南米の古代文明では、インカとナスカが有名どころでしょう。
こちらも、他の古代文明が、たくさんありました。インカ文明が、その前に発達した数々の文明(プレ・インカ文明)を、いかに吸収してきたかが知られるようになりました。
プレ・インカと呼ばれる文化には、モチェ、カハマルカ、レクアイ、ワリ、シカン、チムーなどがあります。
本書を読めば、こういったことが、おおむね、わかるようになります(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
本書の関連地図
第1章 アメリカ大陸の歴史と古代文明
1 いまに生きる古代文化
アメリカ大陸の自然と人々/今に生きる先住民と伝統文化
2 現生人類の誕生から新大陸への入植
現生人類の誕生と出アフリカ/新大陸への入植/
マンモス・ハンターと呼ばれた人々
第2章 古代メソアメリカ文明
古代メソアメリカ文明の文化要素/古代メソアメリカ文明の地域区分/
古代メソアメリカ文明の文化編年
1 アステカ王国
アステカ王国と太陽と生贄/メシーカ人の起源/テノチティトランの建設/
アステカ王国の略史/アステカ王国の陥落/
テンプロ・マヨール大神殿の発掘調査と「アステカ大神殿プロジェクト」
2 古代文明の曙【あけぼの】――オルメカ文化――
生業/中心地の建設と記念碑/政治組織の役割/山への信仰/
オルメカ人たちの遺産
3 王の登場と退場――古代マヤ文明の盛衰――
古代マヤ文明の地域区分/古代マヤ文明の黎明:先古典期/
古代マヤ文明の開花:古典期/古代マヤ文明の衰退:古典期終末期/
古代マヤ文明の終焉:後古典期
4 巨大国家の出現――テオティワカン文化――
「神々によりつくられた」都市/月のピラミッド/太陽のピラミッド/
羽毛の生えた蛇神殿/軍事力をそなえた国際商業都市/
謎につつまれた国家の終焉
5 メキシコ中央高原の新秩序――トゥーラ、ショチカルコ、カカシュトラ‐ショチテカトル――
トゥーラ・チコとトゥーラ・グランデ/ショチカルコ/カカシュトラ‐ショチテカトル
6 オアシスアメリカと中間地域――メソアメリカ周辺の文化――
オアシスアメリカ/中間地域
7 先住民文化の崩壊――スペイン人の到来――
古代文明崩壊の原因/変容する先住民の社会/魂のコントロール
第3章 古代アンデス文明
アンデス文明にないもの/アンデスの人々の世界観
1 インカ帝国
インカ帝国の「歴史」/インカの征服活動/土地と人/ミイラと祖先崇拝/
インカの形/経済システム/インカとスペイン人
2 アンデス文明の誕生
先土器時代の神殿/神殿建設の時空間/神殿と土器/神殿と儀礼/
神殿更新/チャビン・デ・ワンタル
3 最初の王国モチェ
神殿社会の終焉から王国の出現へ/モチェ社会/建物の更新と墓/
モチェの政治組織/世界観と動物/モチェの終焉
4 ナスカの地上絵
ナスカ・ライン/ナスカの土器と首級/ナスカ社会/ナスカの終焉/
カハマルカ文化とレクアイ文化
5 インカの祖先ワリ
ワリの遺跡と建築/ワリの人々/ワリの地方支配/ティワナク/
ワリとティワナクの崩壊
6 インカ帝国に征服されたチムー王国
シカン王国/チムー王国/チムー王国の征服/
インカの支配下でのチムー文化
第4章 日本でのメソアメリカ・アンデス文明コレクション
メソアメリカ地域
中間地域・アンデス地域
おわりに
参考文献
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