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華氏451度 (ハヤカワ文庫 SF)
ネットでちょっと検索すると、おおぜいの方が、レビューを書いている本です。
ということは、それだけ、多くの人に読まれているわけです。
私も、一生に一度は、読んでおいたほうがいい本だと思います。
華氏451度とは、「紙が燃えだす温度=書籍が燃えだす温度」だそうです。
これは、主人公モンターグの職業を表わしています。彼の職業は、焚書官【ふんしょかん】です。
焚書官とは、「本を燃やすのが仕事の役人」です。
『華氏451度』の世界では、本を読んだり、所持したりすることが、犯罪なんですね!
私だったら、こんな世界には、生きてゆけませんわ(^^;
では、人々はどうやって情報を得たり、暇をつぶしたりしているかと言えば、テレビとラジオです。
本書の原版が出たのが、一九五三年ですので、インターネットの存在はありません。
未来社会を舞台にしていながら、ネットの存在がない点に、書かれた時代の制約を感じます。
とはいえ、そのことは、本書の価値を減じていません。
むしろ、こんにちの課題を、本書は突きつけていると思います。
文章を読んで、じっくり考えること。自分の頭で考えること。
それを忘れた人々の社会は、決して、幸福なものにはならないでしょう。
主人公のモンターグは、はじめ、職務に忠実な役人として登場します。
ところが、出来心で、彼は焼かれるはずの本を入手してしまいます。もちろん、この世界では、犯罪です。
さあ、それから、話はどう転がってゆくでしょう?
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第一部 炉床と火トカゲ
第二部 ふるいと砂
第三部 火はあかるく燃えて
解説/佐野眞一