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絵画のなかの動物たち―神話・象徴・寓話 カラー版
西洋の絵画に現われる動物たちについて、解説した本です。一部に、西アジアの絵画も載っています。
ヨーロッパ人(と、一部の西アジア人)が、動物をどのように見ていたのかが、わかります。
分類するならば、「文化誌」という分野の本でしょう。主にヨーロッパの動物文化誌です。
類書は、少ないですね。日本人に馴染みの薄い分野でもあります。
そういう分野を、わかりやすく紹介してくれています(^^) カラーの美しい図版が多いです。おかげで、見ているだけで、楽しいです。
ヨーロッパの文化を知るには、キリスト教と、ギリシア・ローマ神話とが、欠かせません。動物の文化誌でも、それは同じです。
ヨーロッパでは、長いあいだ、キリスト教的文脈で、動物たちが見られてきました。その合間に、ギリシア・ローマ神話がはさまっている感じです。
その実態を、本書は、よく読み解いてくれています(^^)
本書を読めば、西洋の絵画を見る目が違ってくるはずです。「何げなく描かれていると思った動物に、こんな意味があったのか!」という発見があります。
美術館で、西洋絵画を鑑賞するのが、より楽しくなるでしょう(^^)
なお、本書には、竜や一角獣などの、幻獣も載っています。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
I 章 楽園から箱舟へ 創世記の動物誌
動物の創造
光あれ
創造の5日目
動物と人間の創造
動物の命名
エデンの園の獣たち
楽園をたずねて
エデン動物園
知恵の樹の下で
箱舟に乗った動物
ノアの箱舟の建造
大洪水―破局
箱舟の中で
契約の虹
II 章 動物譚の世界
中世動物譚の系譜―Bestiary
その起源
奇妙な動物の情愛
幻獣の宝庫―一角獣
海の驚異
イソップ寓話
寓話と擬人化
寓話のホメロス
狐物語
東方の動物寓話
カリーラとディムナ
鳥の言葉
ラ・フォンテーヌ『寓話』
熱帯の動物誌
III 章 英雄と竜
空想の怪獣
ギリシア神話の竜
ペルセウスとアンドロメダ
ヘラクレスの功業
宝物の守護者
聖人伝をめぐって
聖ゲオルギウスと竜
聖女と竜
大天使ミカエルと黙示録の闘争
太陽をまとう女
天上の闘争
竜のシンボリズム
永遠の敵対者
レビヤタン
英雄を呑み込むもの
IV 章 動物と人間の交わるところ
楽園に憩う獣たち
黄金の時代
オルフェウスの調べ
小鳥への説教
平和な王国
百獣の王
聖なる角
人間の伴侶
人名索引
動物名索引