定期接種をめぐるあれこれ、総動脈幹遺残の記録
今年8月にこの世に生を受けた三女の話を綴っています。今回はこの子の定期接種について起こったことを書きます。
この子は先天性の心疾患、総動脈幹遺残症というなんとも聞きなれない病気を抱えながらも、僕ら家族に赤ちゃんならではの明るさと幸せを運んできてくれてきます。
10月には一度、退院して家族での生活をスタートさせましたが、11月の末からウイルス感染があり、再度入院生活を送っています。
この期間、同時進行で子どもに受けさせる定期接種をお医者様と相談しながら進めていました。
小児肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、ヒブ、などなど多種多様なワクチンを種類によっては回数を分けながら進めていきます。
産まれたてのお子さんを持つ家庭にとって、その予定のやりくりは大切なものですよね。
今では母子手帳に加えてアプリで全て管理ができたりして、便利になったものです。
そのワクチンの接種について僕らが知らなかったことがあります。
市町村を跨いで接種を受ける際、住んでいる場所からの委任状が必要になることでした。
重度の心疾患を抱えた三女は、何かあった場合、住まいの街とは違う市町村にある、大きな子ども病院にお世話になることが多いのです。入院を要する状態ですとほぼ間違いなくこちらの病院に来ることになります。
またうちの子は、主治医のお一人によれば3歳くらいまでは入退院を繰り返す可能性があります。
今回の入院中も一つ、この期間に打った方がいいワクチンがあります。ちなみに打った方がいいという表現の意味は、どうしても打てなかった時には、主治医の診断書があれば例外もあり得るという意味です。
ここからの話は誰かを責めたり、傷つけるためのものじゃなく、ちょっとでも経験として残しておきたいから書きます。
話を戻すと、僕たちが住む街の保健センターさんに委任状の事を電話すると、その答えに仰け反りました。
「委任状の発行は申請後、二週間掛かります。」
心疾患を患っている事も伝えたのですが、このような答えです。
翌日、申請に伺う旨を伝えて一度電話を置きましたが、どうしても「二週間」が引っ掛かります。
子供の健康に関わる事なので。
もう一度、意を決して電話しました。
「もっと早くして欲しい。」と。
それでも期間に関しては前向きな話はその段階ではありませんでした。
正直残念でした。
二週間あれば簡単に状況は変わります。この子の場合、病状が悪化して打つべきタイミングを逃す事もあり得るので、受け入れられる数字ではないのです。
込み上げそうな感情を抑えつつ、翌日申請のため、保健センターに行くと、良心的な様子のスタッフさんから頂いた書類に申請のための記入を行いました。
同行した妻がその間に、その担当の方と話をしていたのですが、妻は「私たちは出生前に心疾患があることを事前に相談していたので、こういう(定期接種を市町村を跨ぐ)場合、委任状が必要な事を、事前に教えて欲しかった。」と言いいました。
担当方は母子手帳の文字列の中に、その旨が書いてありますと。
確かに、母子手帳の定期接種の欄には市町村に相談するようにと明記はあるので、こちらの落ち度です。
ですが、悔しくて。
そこで妻は「分かりました。」と、怒りを堪えながら、話を切り上げました。
申請書を書き上げた上で再度僕から担当の方に、お話を聞いてもらいました。
「今回は受け入れますが、今後も入退院を繰り返す可能性があります。出来れば、例えば母子手帳に市として定期接種に関して、主治医のいる病院の市町村に委任する旨を書いてもらうことは出来ないですか?この二週間を待つ事で、今後、接種するべきタイミングを逃すことが考えられます。」
娘が入院するところはこの地域では大きな子ども病院で、今後僕の住む市でも、同じような状況に陥る市民がいると思うのです。
すると、スタッフさんが動いてくれました。
「二週間はあくまで基本の話しで、ケースバイケースで対応しています。私が責任を持って翌日までに担当部署を周り、委任状を仕上げます。」
真意が伝わったのでよかった。
反面書いた通り、本当に良心的な感じの人だったので、そのスタッフさんのことも気になりつつでしたが、信頼してお任せしました。
そして翌日には、そのスタッフさんがきっちりとお願いしていた委任状を市長さんのハンコ付きで手渡してくれました。
本当に僕らのために走り回ってくれたのが分かったのでありがたかったです。
僕ら親も勉強になることばかり。子育てはこの子が三人目ですが、こんなケースは初めてのことで。
うちの子の病気の確率は一般的に10000分の1です。その確率の事に常に備えてくださいとはいいませんが、現場のスタッフさんがより、市民に寄り添うことができるようなシステムを作る事を望みます。
例えば予め、疾患などが分かっているお子さんのリストを作っておき、親御さんはどんなことを気にしなきゃいけないのか(まさにこのワクチンのことを含めて、見落としがちな事)を、リスト化して、発信するなど。
くれぐれも誰かを責めるためではなく、知る事で防ぐことができることがあると考えたので、なるべく具体的に書きました。
この経験が誰かの役にもし立てたら、それが幸せです。
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総動脈幹遺残症が教えてくれたもの(定期購読版)
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