”幸せ”ってなんだろう?自分の住んでいる世界では出会えない人と出会えたおてつたび。【おてつびとインタビュー vol.8】
旅といっても、飛行機の旅、鉄道の旅、車の旅、自転車の旅……と様々なかたちがありますよね。目的地までの交通手段を考える時間も、旅の大きな楽しみといえるかもしれません。
さて、今回のnoteでも #おてつびとインタビュー をお届けします。
航空券とホテルの予約を一緒にとれるANAトラベラーズとのコラボおてつたびで、島根県・江津市を訪れた山下空良さんにお話を伺いました!
●おてつたび先データ●
行き先:島根県・江津市
期間:2020/09/25(金)-30(水)
おてつたび内容:空き家や空き店舗のリノベーション
https://otetsutabi.com/plans/96
◆ANAとのコラボ!航空ニュースで偶然知った「おてつたび」
自分は現在、京都府の大学に通っています。
出身が愛知県名古屋市、それから三重県の高校で寮生活、そして大学からは京都に住んでいます。
住めば都なので、故郷は3つあります。今回行った島根県はもう故郷なので、これで4つ目になります。
航空業界に興味があって、将来は航空機のパイロットを目指しています。今回はANAトラベラーズとのコラボということで、おてつたびのことが航空ニュースにも載っていました。そこでたまたま、おてつたびというサービスを知りました。
お得に飛行機に乗れるのかなと思ったことと、なんだか面白そうだったので申し込みました。また、どこかに行きたかったし、”島根県には行ったことがなかったので行ってみようかな”という気持ちもありました。
自分は、ものすごく狭い世界で生きてきたと思っていて、今後生きていくなかで、地域の方と関わる機会って、なにかのプログラムに参加しなければ、なかなかないんだろうなあと感じていました。それで、地域の方々とも交流ができるというところにも惹かれました。
知らない地域を訪れて色々な方にお会いすることによって、知らなかった価値観との出会い、発見があるんじゃないかなと考えたんです。
◆ANAトラベラーズで航空券とホテルを予約。初めて訪れた島根県。
行きについては、特に前泊はせず、合流する当日に飛行機で島根県に向かいました。
帰りは、最終日に現地で付き添って下さった方に出雲大社や松江城に連れて行ってもらって、おてつたび先の近くの町のビジネスホテルで後泊をしました。ANAトラベラーズで航空券とホテルがセットで予約できるので、とても便利でした!
今回のおてつたび先は、人が少なく過疎化が進んでいる地域を盛り上げようとしている方たちのいるところだったのですが、「過疎化」の現実を自分の目で見たのは初めてでした。
この言い方が適切かわかりませんが、江津市(ごうつし)はすごく便利な地域とはいえないというか、交通の便があまり良くないという点を、現地を訪れてみて実感しました。そして、江津のような人口が少ない地域はどうしたら良いんだろうということも、現地に実際に自分が足を運ぶ事によって考えさせられました。
とはいえ、自分たちに関しては、江津の方たちから良くしてもらって楽しかったという印象が一番でした。現地の方との交流をさせていただいた、それが凄く楽しかったです。
「旅行しようかな」と考えた時に、多くの人は観光地として名前が挙がるようなところに行ってしまうのかもしれません。でも、今回のおてつたびでは地元の方たちとの交流もあったから、いい思い出ができました。
お掃除のお手伝いをさせていただいた空き家は、江戸時代だったか、とにかくすごく古い建物でした。そこには明治時代の書類とか、教科書とか本とか、何と書いてあるのかわからないようなものがたくさんありました。
浜田藩からの手紙が残っていたり、明治時代の、1800年代後半の書物も綺麗に残っていたりして、驚きました。
空き家は数年前に最後に住んでいた方が亡くなって以来、数年間人が立ち入ってなかったそうで、まずホコリをとることから始まり、拭き掃除や掃き掃除をしていきました。外国人の方の移住の受け入れ先にできればとのことで、人が住める状態を目指して片付けていきました。
ほかにも、近くの工業高校生が授業の一環でリノベーションしている、数年前まで事務所として使われていた場所の壁のペンキ塗りもお手伝いしました。この時はおてつたび先のインターンの方とも一緒に作業しました。
それから、地域の文化財のようなかたちで残されていた、元・市役所の大掃除もしました。この建物は現在は公民館として使われていましたが、なかなか趣があって良かったです。
江津はふらっと訪れてみると普通の町だなという感じなのですが、江戸時代に貿易で栄えた港だったそうで、地域の方からの解説などがあればおもしろいと思います。
具体的には決めていませんが、江津には、また時間を見つけて是非行かせていただきたいな、友達か家族を連れていきたいなと思っています。その時には、今回お世話になった方たちにも連絡したいです。
関わった人がいると、その「場所にまた行ける」のがとてもいいと思います。今回は、至れり尽くせりな旅で、楽しく過ごすことができました。
◆一般的な観光ばかりが魅力じゃない。知らないだけで、魅力はある。
行く前から、どんな旅なんだろうなあ~というワクワクはありましたが、予想をはるかに超えて楽しませていただきました。行ってみたら温かい人たちに迎えていただき、楽しくお手伝いをさせてもらえて、とても良かったです。
今回、島根県には初上陸でしたし、”江津”の名前も初めて聞きました。さすがに島根県の位置はわかりますが、島根県で知っている地名というと、”出雲”、”松江”くらいしかなかったので、最初は「江津ってどこだろう……?」と思いました。
島根県出身の友達の話から、行く前の印象は”田舎なのかなー”というくらいでした。でも実際に行ってみたら、人が集まる理由になるような大きな観光地はあまりないのかもしれませんが、それ以上に、知らないだけで魅力はたくさんある地域なのかなという感想をもちました。
”観光地”というところに焦点をあてて情報を仕入れようと思ったとき、情報源はテレビ、ネット、SNSなどになると思います。考えてみると、そこで名前が挙がるのは仙台、金沢、東京とか有名な観光地が多いです。
江津市は島根県のなかでも出雲から100キロくらい離れていて、車で2時間ちょっとかかる場所なので、出雲大社に行った人が流れてくる距離でもないですし、県外から人が集まる要素はあまりないのかなあという印象もありました。
でも、だから何もないということではなく、一般的な観光ではない魅力があるのが江津です。特に感じたのは「人の温かさ」でした。おじいちゃんおばあちゃんが多いにもかかわらず、とても元気な方ばかりで、70代で若手と言われるくらいです。
「盛り上げる」という言葉の定義にもよりますが、江津の「地域を盛り上げたい」という定義は、沖縄とか北海道のように、海外からの観光客を呼びたいというわけではないのかな?という印象はありました。
また、大きい都市に住んでいると人口を気にする場面はほとんどないのに対して、江津では人口のことを気にされているんです。高齢化と言われているだけあってご高齢の方が多いのに、子どもが少ないんです。
人を集めたい、定住人口と関係人口を増やしたいという話もお聞きしました。「※関係人口」という言葉は初めて知ったのですが、そういった関係をもった人のことを増やしたいともおっしゃっていて、なるほどなと思いました。自分も、こうして江津に関わったから関係人口に含まれていくんだろうなと思います。
【※関係人口:「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと。(出典:総務省『関係人口』ポータルサイト)】
◆”出会い”で広がる世界が見たい。
おてつたびの終盤に、公民館で地元の方との交流会があって、自分のおじいちゃんと同じくらいの世代の人とお話をする機会がありました。
自分のなかでの今回のテーマは、過疎化の地域の現状を見ること、そして、もしできるならばその解決策が自分の中で見えたらいいなと考えていました。自分の住んでいる世界では出会えない人と出会う、お話することで吸収できることがあればいいなと思っていました。
それで、「幸せってなんですか?どう思いますか?」という質問をしました。”自分たちが思い描いている幸せ”と”地域のご高齢の方の幸せ”の価値観って違うのでは?ギャップがあるのでは?と考えて、実際の声を訊いてみたかったからです。
自分も少なからずその一人ですが、「幸せ」ときいたとき、”お金を持っていて、幸せな家庭があって、大きな家に住んで、いい車に乗って、子どももいる”といった状態を思い浮かべる人が多いと思います。
そしたら、答えてくださった方は「毎日生きていることが幸せ」だとおっしゃっていました。
毎日不自由なくご飯を食べて、お風呂に入って、テレビを見て、家族としゃべる、そんな何気ないことが幸せだよ、と言うんです。今も、この瞬間も、幸せだと感じられる状態でいること。でも確かに、自分たちが考えている幸せの原点ってそれだろうなあと思いました。
自分たちからしたら明るい未来を描くことが幸せかもしれないですが、毎日学校に通えていたり、生活できていたりすることが幸せなんだろうなあと、そのときに思いました。
今回のおてつたびには、山口県の大学生と、20代の社会人の方が参加されていました。
その二人とも、今回おてつたびに行かなければ出会うことがなかったですし、島根県立大学の方とも出会うことはなかったと思います。
年代の違う、自分と違う環境で過ごしてきた方と一緒に仕事をする機会は刺激になりました。何かあればまた連絡させてもらいたいなと思っています。
おてつたびがなければ行くことがなかった人たちが、地域に足を運ぶことがきっかけとなって今後、何かの機会で人を連れて行ったり、定住したりすることもあるかもしれません。
そうやって、狭い世界に飲み込まれるんじゃなくて、もっともっと色々な人と出会うことが多くなれば、そのなかで自分で気付いていなかった何かが見つかる可能性もあります。自分の知っている世界が広ければ広いほど、おもしろい人になれるというか、人間味が出てくるんだと思います。
”おてつたび”は、いい経験になると思います。行けば行くほど世界は広がるんじゃないでしょうか。少なくとも、自分が行った企画に関しては楽しいことが多かったですし、時間が許すのであれば行くべきかなと思います。
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現在通っている京都の大学からオンラインでインタビューに答えて下さった山下さん。「話すのは得意ではないので…」と言いながらも、江津市でのおてつたびで感じたことを率直に語ってくれました。
もっともっと知っている世界を広げたい、と知らないものへの興味を持つ様子が素敵だなあと思いました。おてつたびでの出会いが今後の世界を広げるきっかけのひとつになったらうれしいです。
――山下さん、ありがとうございました!
〈インタビュー・構成・執筆:田中沙季(さきっちょ)〉
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⭐おてつたび先データ⭐
◆江津市公式HP
https://www.city.gotsu.lg.jp/
◆江津市観光協会HP
https://gotsu-kanko.jp/
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